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サスペリア (2018):映画短評

サスペリア (2018)

2019年1月25日公開 152分

サスペリア
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ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

くれい響

近年稀にみるバケモノ映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

“総合芸術”としての映画そのものであり、観客の神経を逆撫でするような演出やカット割など、喧嘩も売っている。そのうえ、早々のネタバレや152分という上映時間など、オリジナルのファンにもいろいろ仕掛けてくる。それを踏まえたうえでのジェシカ・ハーパーの登場は、『ブレードランナー 2049』にも通じる監督のオリジナル愛を感じずにはいられない。まさに、近年のA24スタジオ作品に代表される「そのバケモノのようなスゴさが、なかなか他人に伝えにくい映画」の最高峰。つまり、絶賛するのも、貶すのも、観てからじゃないと始まらない。そういう意味でも、オリジナル同様、見世物小屋感はたっぷりだ!

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

普通のホラーを期待しないように

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

70年代のオリジナル映画の話を独自の視点から語る、野心的な作品。第二次大戦の傷跡や当時の政治的、社会的事情にも触れ、知的さと奥行きをもたせようとしているものの、それらは思うほど効果的な形で映画に貢献していない。映像や音楽は優れているが、2時間半以上もの上映時間があるのに、女性たちのキャラクターを深く掘り下げることはせず、美しい女優たちもただのビジュアルに見えてしまう。もちろん、それらを楽しむ人もいるだろう。しかし、普通のホラーを期待する人は、怖いシーンが出てくるまでの間があまりにも長いため、最後のクライマックスの頃にはもうどうでも良くなっているかもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

名作映画のリメイクはかくあるべし!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 これは実に見事な換骨堕胎である。オリジナル版の基本設定を踏襲しつつも、舞台となる’77年当時の西ドイツの政情不安やナチズムの暗い歴史を巧みに絡め、終盤に意表を突く展開を用意することによって、ちゃんとルカ・グァダニーノ版『サスペリア』として新たな作家性を宿す。極彩色に彩られたアルジェント版のビジュアルとは、ある意味で真逆な視覚のアプローチも功を奏した。元祖スージー・バニヨンことジェシカ・ハーパーの登場も嬉しいが、アンゲラ・ヴィンクラーやイングリッド・カーフェンといった’70年代欧州アート映画の名花たちを寮母役に配する監督のこだわりにも感銘を受ける。名作映画のリメイクはかくあるべしという好例だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ジャンル映画の枠を飛び越えた狂気のアートムービー

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 オリジナルのファンとしては、最初はどう受け止めるべきか戸惑った。2時間半を超える映画だから単なるホラーではないのは想像がついたが、スラッシャー色は控え目でアート色が強い。しかし、それがジワジワとシミてくる。

 舞台設定や役名はそのままだが、本作のダンスカンパニーはオリジナルとは異なる女性の園。ベルリンの壁の存在を背景にした政治色に加え、深まる狂気がドラマをスリリングにする。

 何よりのオリジナルとの違いは、ダンス・シーンが大きくモノを言うこと。エロスと魔性が入り乱れるクライマックスの群舞はトラウマとなるほど圧倒的。狂気を突き抜けて魔女と化す女性の凄みを感じた。一見の価値アリ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

確かに「サスペリア」とはこういう物語だ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 監督が発言している通り、リメイクではなく"翻案"。監督自身にとって「サスペリア」とは何なのかが描かれる。監督は自分が「サスペリア」の真髄だと捉えた部分を抽出し、それを発展させるのだ。その解釈は強引ではなく、確かに「サスペリア」とはこういう物語だと頷かせる説得力を持っている。
 監督が抽出したのは「"踊り"とは、"何と呼んだらいいのか分からないのでさまざまな名を持つあの強大な力"を宿らせる"器"である」という概念だ。前作はバレエだったが、今回はモダンダンスを踊る若い女性たちがそれに気づき、慄き、拒否したり受け入れたりする。踊りを「形」ではなく「動き」として捉えようとする撮影も効果を上げている。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

決して、前作のコピーだと思わないでください

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ストーリーをある程度、忠実になぞりつつ、まったく新しい映画を創造し、これはリメイクの正しいあり方。怖さを期待して観た人は、やや肩透かしをくらうかもしれない。しかし前作でも鮮明に記憶されたのは、衝撃描写以上に、独特の色づかいやゴブリンの音楽だったりした。そうしたアルジェンド版の「記憶」と「精神」を受け継ぎ、今回もホラー映画的展開ながら、アートダンス映画色が濃厚という印象にシフトする。ホラー的エグさと、ダンスの美しさ&キレを融合した、あるシーンの演出には異様な心のざわめきを覚えた。サブリミナル的に挿入されるドッキリ描写の意味や、隠されたキーワードなど、2度、3度とじっくり楽しみたい感覚は前作以上。

この短評にはネタバレを含んでいます
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