映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~ (2019):映画短評
映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~ (2019)ライター2人の平均評価: 3.5
みさえが主役
橋本昌和監督作らしい娯楽映画ネタ満載。インディ・ジョーンズ(『レイダース』)の基本線に豪の大地で『怒りのデス・ロード』の露骨なオマージュをぶっこんだドタバタ大活劇。平凡な家族の幸福を謳う主題はおなじみだが、ひろしの「サラリーマンをなめんな!」イズムに替わり、二児の母である主婦みさえのメッセージが前面化。その意味では同じシャーリーズ・セロンでもフュリオサより『タリーと私の秘密の時間』に近かったり?
そういった律儀な時代性反映の一方、秘境や部族の描写が「80年代以前の白人映画」のパロディ風からさほど出ていないのは惜しい気がしたなあ。歌曲の使い方や小島よしおの処理などのユニークさに星1つ献上。
ひろしとみさえの“夫婦愛”が試される!
オーストラリアを舞台に、インディジューンズならぬララ・クラフト似のインディ・ジュンコ(ドジな性格は一緒!)が物語を掻きまわし、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』リスペクトで改造車が砂漠を暴走し、『ウィッカーマン』~『キングコング』な展開に突入! 前作のカンフー映画オマージュがイマイチだったぶん、王道のアドベンチャーを楽しめるが、本作のテーマはガチの“夫婦愛”。劇中、ひろしが福山雅治の「HELLO」を、みさえがMISIAの「Everything」をカバーし、2人の想いが対になった構成だ。洞窟でのみさえ絶叫は名シーンといえるし、東武伊勢崎線の情景が頭に浮かぶ、あいみょんの主題歌もハマっている。