リアム16歳、はじめての学校 (2017):映画短評
リアム16歳、はじめての学校 (2017)ライター2人の平均評価: 5
親離れ・子離れの『(500)日のサマー』的解釈
子どもを学校に通わせず、自宅で教育する親の選択が、アメリカでは比較的フツーに受け入れられている。そんな社会を背景にしつつ、母と息子の関係を見つめた本作。
恋に落ちたことから16歳で初の学校通いを決意した少年と、その選択を受け入れるシングルマザーの物語。息子は息子で負け犬として扱われ、母は母で息子の自立にとまどう。母子ふたりで築いた絆が崩れ、新たな世界が見えてくる。彼らの成長劇は、すなわち親離れ・子離れの物語でもある。
そんな母子関係をユーモラスにまとめあげた手腕も絶品。『(500)日のサマー』を連想させるリアルな青春ラブストーリーのまとめ方も光る。どのキャラもファニーで愛しい逸品!
極めて密度の高い学園映画のヴァリエーション的傑作
ジョン・ヒューズからジェイソン・ライトマンまで――とでも系譜付けできる問題系に、カナダから不意打ちのアンサーが届いた。若見えのママと秀才の息子がホームスクーリングから飛び出し、地元公立高校での日常的冒険を繰り広げる。このやや極端な友だち親子のW通過儀礼には、成熟のコードを失った時代の成熟とは何か?という我々にも他人事ではない主題がでーんと横たわっている。
とはいえ本作の白眉は甘酸っぱい初恋の時間の描写で、ライドアウト監督のロマンとリアルの両刀使いが光る。新人ダニエル・ドエニーが本作に続いて主演したNetflix配信作『アレックス・ストレンジラブ』(ポスト『ムーンライト』系)も併せてご覧あれ。