ADVERTISEMENT
どなたでもご覧になれます

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ (2018):映画短評

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ (2018)

2019年4月19日公開 97分

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ
(C) 2018 - 3D Produzioni and Nexo Digital - All rights reserved

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

人命だけでなく文化も破壊する戦争の恐ろしさが伝わる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

自称“芸術に造詣が深い”ヒトラーがユダヤ人画家の作品を破壊し、ティツィアーノやゴヤら名作を次々に略奪したことは知っていたが、そんな単純な話じゃなかったことがよくわかった。闇の美術史というコピー通り、まさに「今だから言える」逸話の連続で、圧倒的な情報量に目が回るほど。編集にもう少し工夫が欲しかったが、製作陣の心意気には頭がさがる。武力で命や尊厳を奪い、さらには文化を破壊する戦争の恐ろしさが伝わり、ピカソの言葉が胸にしみた。モニュメント・マンはすでに映画化されたが、真相が明かされないまま略奪作品を美術館に寄贈した謎のグリット氏とその父親にまつわる事件も映画の素材としては非常に魅力的に思えた。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

「いかがわしさ」の転倒が真の主題かもしれない

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ミケランジェロ・プロジェクト』や『黄金のアデーレ』の後発だが、コレを観れば事足りるのでは?ってほどしっかり掘ってくれた教養番組系。タイトル(原題はピカソの後に“AND THE OTHERS”とつく)が秀逸で、肝は有名な「大ドイツ芸術展」と「退廃芸術展」。アート好きのナチスが「正しさ」を求めたのが前者で、むしろ「病的」な後者が大ヒットしたのは喜劇的。

この古典と前衛の奇妙な関係は、政治(的判断)と芸術(的価値)を同じ壇上に置いちゃったことから発生するカオスだろう。混ぜるな危険というより、表現に対する根本的な誤解が招く珍事で、今日の「自粛」騒ぎにも通じる。やや生硬なミステリー風の語りはご愛敬。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT