神と共に 第一章:罪と罰 (2018):映画短評
神と共に 第一章:罪と罰 (2018)ライター3人の平均評価: 4.3
ゲーム感覚で地獄を脱出せよ?
地獄に落ちてもいくつかの試練を乗り越えれば蘇り可能な人(貴人)がいるという前提で、派手なアクションと人間ドラマが進行するのが面白い。日本人の考える地獄とはちょっと異なる冥界像やレベルクリアしながら再生を目指す審判などコミックやゲームを取り入れた体裁がとても今っぽい。ハリウッドには及ばないものの特撮レベルはかなり高く、見応え十分。またキャストが豪華。世界的にも評価が高い演技派や大物、人気アイドルが次々と登場するからびっくり。予算潤沢なのが一目瞭然な大作だ。最後の最後に「おおっ」と期待させる人気者を登場させる展開は、続編込みの企画だからか。
東洋的宗教観とハリウッド的エンタメの見事な融合
人間は死ぬと7つの地獄で裁判を受け、その全てで無罪が立証されると現世に転生できるという設定のもと、非業の死を遂げた消防士が冥界の使者3人に導かれて自らの潔白を証明しようとする。アクションあり、スペクタクルあり、アドベンチャーあり、人間ドラマあり、さらには多種多様なモンスターもてんこ盛りという賑やかさ。東洋的な宗教観とハリウッド的なエンターテインメントを絶妙に融合させつつ、韓国映画らしい「泣き」のツボも見事なくらい心得ている。綺麗ごとでは済まされない人間の多面性を浮き彫りにしつつ、ラストはこれでもか!と言わんばかりの感動の嵐に大号泣。韓国映画史上3位の観客動員数はダテじゃない。
“いい人”チャ・テヒョンと地獄巡り
タイトルから、荘厳な雰囲気を醸し出す哲学的な作品だと勘違いされそうだが、『新感染』超のメガヒットも納得! ウェブコミック原作のRPG感覚で描く『大霊界』で、主人公は「死神くん」な使者3人組。それを『ミスターGO』『国家代表!?』のキム・ヨンファ監督らしい笑って泣かせるエンタメ演出で調理する。しかも、“どんだけ、いい人か?”の審判を受ける地獄巡りの旅に出るゲストキャラが、チャ・テヒョンというキャスティングも絶妙だ。中国映画のようなゲームっぽさ&大味さを感じさせないVFXや美術も見どころで、140分の長尺ながら、次章のゲストキャラを演じるマ・ドンソク登場のラストまで突っ走ってくれる。
"特撮映画"と呼びたくなるド派手映像が楽しい!
特殊効果映像を見るときの根底にある、純粋で原初的な喜びーー現実には存在しないものが面白い姿と動きをするのを見るとワクワクする、という気持ちが刺激されまくる。ストーリーにはやっぱり韓国映画らしい泣かせ要素が入ってきてしまうのだが、ビジュアル面はド派手さ、奇想天外さ、楽しさ、クールなかっこよさが満載! いろんな映画に似た視覚的要素やシーンは多数あるが、それがただのマネではなく、ちゃんとカッコよく見えて、しかもストーリーの中で機能しているから問題ない。そして、各種の地獄の光景やそこを司る神々の姿に違和感がなくどこか親近感が感じられ、やはりアジアは文化的に繋がっているのだなあと痛感したり。