ガリーボーイ (2018):映画短評
ガリーボーイ (2018)世界中の虐げられた若者たちへ捧げるインド産ヒップホップ映画
ガリーボーイの「ガリー」とはヒンディー語で路地裏のこと。インドに実在する人気ラッパー・コンビをモデルに、スラム街の路地裏で育った貧しい若者たちが、格差社会の理不尽に対する激しい怒りや不満をラップに託し、やがて世間の共感を得ていく。さながら、世界中の「虐げられた若者」へのエールだ。日常生活の隅々まで、厳然たる格差のヒエラルキーが広がるインド。それが骨身に沁みついた主人公ムラドの父親は、家庭で暴君のように振る舞うことで自己の尊厳を保ち、「夢など見るな」と息子を押さえつける。男尊女卑や貧困の問題に弱者目線で斬り込むのは女性監督ならではか。インドのヒップホップ文化を知る上でも興味深い作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます