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再会の夏 (2018):映画短評

再会の夏 (2018)

2019年12月13日公開 83分

再会の夏
(C) ICE3 - KJB PRODUCTION - APOLLO FILMS - FRANCE 3 CINEMA - UMEDIA

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

山縣みどり

「戦争に真の勝者なし」を実感するラブストーリー

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

国に招集された庶民が戦地で人殺しを強いられる!? 戦争という理不尽な仕組みに組み込まれた青年はもちろん、家族や愛犬にまで雪だるま式に悪影響が及ぶ過程を描いている。ある事件の真相を探る軍事判事と被疑者である物言わぬ戦争の英雄、留置所前で英雄に寄り添う犬、美しく聡明な農婦と幼い息子というピースがしかるべき場所に収まり、完成するパズルのメッセージが心に染みる。政治家以外には戦争に真の勝者などいるわけがなく、私たち庶民は使い捨てられるだけだ。事件を解明する少佐役のF・クリュゼの生真面目で穏やかな雰囲気も絶望を絵に描いたようなN・デュヴォシェル、犬に至るまで全員がキャラクターにはまっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
ミルクマン斉藤

原題「赤い首輪」のほうがずっと意味を持つ。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

父親である巨匠ジャックよりも今や僕的には好きかもしれないジャン・ベッケル86歳の作。汎世界的に郷愁を誘う詩情あふれる風景と人間模様、直接的間接的にぐっさり暴かれる厭戦思想に心奪われる“田舎町映画”が彼の本領 (その頂点は『クリクリのいた夏』) だが本作もその系列といえる。第一次大戦になんと愛犬とともに従軍し、レジオン・ドヌール勲章まで授与されながら戦後留置場に収監された男に何があったのか。軍判事(『最強のふたり』の…というより『殺意の夏』のF・クリュゼ)の聴取により明らかになっていくその“罪”は、静かだが痛烈な戦争への皮肉だ。まるで短編小説のように簡潔できりっとした、まさに名匠の作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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