ディヴァイン・フューリー/使者 (2019):映画短評
ディヴァイン・フューリー/使者 (2019)ライター4人の平均評価: 3
韓流オカルト映画は『エクソシスト』×格闘技アクション
ある日突然、悪魔払いのパワーに目覚めてしまった若き格闘家が、神への信仰心に揺れつつもベテラン神父とコンビを組み、現代社会の日常に潜む悪魔とその崇拝者たちを相手に壮絶な戦いを繰り広げていく…ということで、ずばり『エクソシスト』×格闘技アクション。韓国流のハードボイルドな『コンスタンティン』といった印象で、アイディア自体はとても面白いのだけれど、いろいろと詰め込み過ぎたせいで逆に小さくまとまってしまった感は否めない。いっそのことシリアスな宗教的テーマをバッサリと切り捨て、より荒唐無稽に突っ走った方がカルト映画として成功したかも。ただの顔見せだけかと思ったチェ・ウシクの意外な活躍はちょっと嬉しい。
『ミッドナイト・ランナー』の監督&主演ふたたび、なのに!
キム・ジュファン監督の前作『ミッドナイト・ランナー』に続き、まるで「週刊少年ジャンプ」連載な設定に胸躍るうえ、今回はパク・ソジュンがどんな髪型で暴れるか?という期待も高まる本作。主人公の幼少時のエピソードや総格の試合など、冒頭からあまりに淡々とした演出に不安を覚えるなか、『コンスタンティン』を意識した宗教色強めのオカルトに突入。『ソウル・ガーディアンズ/退魔録』を思い起こさせるアン・ソンギとの師弟愛も悪くないが、いかんせん歯切れが悪く、冗長。韓国でコケたのも頷ける仕上がりだが、笑顔を見せないソジュンの決めカットやチェ・ウシクとの絡みなど、ファンならそれなりに楽しめるので、★おまけ。
設定はとてもエキサイティングなのだが
MMAファイターがエクソシズムを行う韓国映画と聞くと面白そうだが、残念にもそうではなかった。オカルト、アクション、師弟ドラマ、親子愛、信仰心などいろいろな要素を詰め込んでいるものの、どれも中途半端で、ただ上映時間を引っ張る結果になっている。その世界に忠実であるよう意図的にやったのかもしれないが、取り憑かれたシーンはもう何度も映画で見たことがあるものばかりで、全然怖くない。ベテラン神父と主人公が師弟関係を築いていく過程、主人公の信仰への態度と迷いなども、どうも説得力に欠ける。ただ、この手の映画はそういうシリアスなことは二の次。シンプルに1時間半程度のかっ飛んだB級映画にしてほしかった。
「エクソシスト」の韓国流アレンジが痛快!
「エクソシスト」を韓国映画が描くとこうなる。"キリスト教の牧師による悪魔払い"という骨子はそのままで韓国映画ならではのアレンジがたっぷり。その脚色ぶりが"そうきたか!"と思わず仰反る説得力と大胆さ。何しろ、神父の悪魔払いの助手になるのは、イケメンのプロの格闘家。神への愛も試されるけど、親子の愛も試される。出現する悪霊のデザインも、ちゃんとアジアの文化を踏まえた形。それでいて世界共通の要素はそのままで、悪魔がいるのはやっぱりモダンなインテリアのオシャレなクラブだし、悪魔に魂を売りそうになるのは虐められてる男の子だったりする。エクソシストを韓国映画仕様で描く斬新な発想とそれを実現するパワーが痛快!