今日から俺は!!劇場版 (2020):映画短評
今日から俺は!!劇場版 (2020)ライター5人の平均評価: 3.8
テレビ版と変わらない魅力をお祭りとして楽しむ
試写でなく劇場で観賞したため、噂に聞いていた子ども人気の高さを実感。
テレビ版と同じ楽しさがあり、劇場版らしい物語としてのまとまりや、クライマックスには大乱闘シーンもある。アクション好きとしては、清野菜名と山本舞香という身体能力の高い女優同士の対決にも興奮した。
この作品には、あえて変えない良さがあるとも思うので、良くも悪くもテレビ版とほぼ同じなのは、今回は映画館で盛り上がるファンムービーとしては良かったとは思うものの、無粋を承知で言うと個人的にはテレビドラマや配信で気軽に自宅で楽しむのに適した作品のようにも思う。続編があるなら映画にこだわらなくてもよい気が……。
上等じゃねえか!!
テレビシリーズが素晴らしかったので(先日放送のSPはご愛敬)、映画がケチャケチャな出来だったらどうしようと正直観るのが怖かったのだが――これはかなり理想的な「劇場版」ではないか? おそらく勝因のひとつは、あくまで原作マンガの再構成(『VS北根壊高校編』)という命綱を手放さなかったこと。長編としての構造的強度が保たれているし、新たに投入されたキャラクターたちもみんな活きている。
ファンムービーの祝祭もきっちりクリアしつつ、一見さんにも優しい作り。欲を言うなら大人チームの悪ふざけは「もっとくれ!」と思ったが、清野菜名と山本舞香のアクションが多めだったことなど拍手。最後の銀蠅はコンセプト的に完璧!
ヤンキー魂くすぐる構成とゲスト
当たりハズレがデカい福田雄一監督作だが、「ドラマ版」で基盤が固まっていることもあり、前作『ヲタクに恋は難しい』のときのような不安感は皆無。「北根壊高校編」をベースに、『ビー・バップ』~『クローズ』『ハイロー』まで意識した作りで、ヤンキー魂をくすぐってくれる。しかも、銀蠅繋がりのゲストにエンディング曲、それに文字フォントに激アツ。「ドラマ版」同様、福田作品おなじみの脱力ギャグに関しては、今回も緩急のアクセントになっており、佐藤二朗の“自分ししおどし”やムロツヨシの“拍子木”もファンサービス程度のクドさだ。ただ、開久VS北根壊の直前など、全体的にエピソード盛り込み過ぎは否めない。
気負わず通常運転
SPドラマはスピンオフ感があったが、劇場版は王道の勢力争い。山本舞香に栄信と本物っぽい方々が新たに参戦してアクションも満載なのだが、お馴染みのロケ地に、良い意味で成長のないキャラクターたちが変わらぬ笑いを提供し、大風呂敷を広げていないところが良い。何せどんなに彼らが街中で暴れていようが、これが街の日常であり、”今日俺”の世界。その世界観を構築するために、喧嘩にも素知らぬ顔で通り過ぎる通行人のエキストラにまで目配りが効いている事に感心する。そして改めて実感するのが清野菜名のアクションの素晴らしさ。クライマックスでは野郎どもの中に一人飛び込んで戦うが、俊敏さで群を抜く。世界に飛び出して欲しい逸材。
祭りだ!!!
まさに夏祭り!今日俺祭り!!と言った一本。
ドラマシリーズの魅力がギュッと詰まっていて期待を裏切りません。
映画最大の魅力は何と言っても悪役を一手に引き受けた柳楽優弥の怪演でしょう。
彼が、とにかく卑怯この上のない最悪最凶なキャラクターなので、その後の気持ちを溜めに溜めた後に爆発させるクライマックスの対決シーンが異常に盛り上がります。
智司と相良の開久への帰還からの三橋・伊藤との共闘も熱いものがあります。
『銀魂』シリーズの経験やアクションができるキャストの並びももあるのでしょうが、福田監督は大掛かりなアクションシーンの見せ方がどんどん上手くなりますね。