プレーム兄貴、王になる (2015):映画短評
プレーム兄貴、王になる (2015)ライター3人の平均評価: 4
久々の王道マサラ・ムービー、やっぱり楽しい!
歌と踊りが無いインド映画なんて、クリープを入れないコーヒー!? と感じていたなら狂喜乱舞の王道マサラ・ムービーだ。ダンスの振り付けや衣装、撮影方法が素晴らしく、豪華絢爛。眼福だし、心身ともにノリノリ! ご贔屓女優ソーナム・カプールが披露する華麗なダンス&歌で星1つ追加だ。貧しくとも心清らかな青年が出自ゆえに孤独な王の心を溶かす展開は王道だが、ちょいちょいヒネっていて、恋愛模様でハラハラさせる構成もなかなか。家族の大切さ、モラルや男気、真実の愛とテーマもてんこ盛りで、満足度も高い。サルマン・カーンの二役もいいし、D・ドブリヤルが演じる相棒カンハイヤのキャラがすごく面白い。長尺、気にならず。
思わず微笑みがこぼれる正統派のボリウッド映画
これぞまさしく、古き良き正統派のボリウッド映画!このところ、歌やダンスをなるべく抑えたシリアスな作品、派手なCGやアクションで見せるハリウッド風のモダンな作品が増えたインド映画界にあって、本作のような純然たるマサラムービーはむしろ新鮮かもしれない。庶民から兄貴として慕われる下町の貧乏役者が、何者かに命を狙われた王子の替え玉に起用され、王家を取り巻く様々な問題を解決していく。人情と笑いとスリルとサスペンスが盛りだくさんの豪華絢爛なミュージカル。その装いはあくまで古風だが、しかし伝統的な男尊女卑や身分格差をチクリと風刺し、愛と平和と平等の尊さを謳うテーマは現代的。思わず微笑みのこぼれる映画だ。
豪華絢爛極彩色系インド映画の様式美にウットリ
あえて古典的インド娯楽映画の様式を甦らせた意欲作。豪華絢爛、極彩色、脳が溶けそうな半音階のメロディ、それを歌う高音域の女声、舞い踊る美男美女たち。そんなかつてのインド映画が出現させた桃源郷が繰り広げられる。それでいて展開速度と音楽の律動はきっちり現代仕様。実写版「アラジン」のアラジンの行列をもっと派手で華麗にした世界なので、あの雰囲気が好きだったならきっとウットリするはず。
現代を時代背景に夢のような世界を描くため、主要登場人物たちを王族にして宮殿も衣装も豪華で華麗に。物語も様式に合わせ、王子にそっくりな顔の売れない役者が王子の身代わりになって大活躍の古典仕様だ。