ワイルド・スピード/ジェットブレイク (2021):映画短評
ワイルド・スピード/ジェットブレイク (2021)ライター7人の平均評価: 4
監督の復帰によりキャラ愛も復活!
シリーズがスケールを増すのは嬉しいが、前作ではヴィランからファミリーに転身したデッカードの扱いが少々粗雑に見えた。その点、キャラ描写に重きを置いてシリーズをメガヒットに導いたリン監督の復帰は正解。
これまでの登場キャラを無駄にせず、それぞれにドラマを持たせる。死んだはずのハンを復活させ、3作目の彼の仲間も再登場させたのは、監督のキャラ愛の表われと言えよう。
ハンとデッカードの因縁にも決着を付けようとしていることは、本作を見ればわかるだろう。この後の2作にリン監督は続投するというが、それらが早くも楽しみになってくる熱血作。車で宇宙に飛び出す破天荒な見せ場ともども、注目!
ジャスティン・リン監督ならではのサービス全部乗せ
「お待たせしすぎたかもしれません」と言わんばかりに、ジャスティン・リン監督がサン・カンを引き連れ復活! 『TOKYO DRIFT』メンをクローズアップし、凡庸だったシリーズが確変を起こした『MEGA MAX』のクライマックスを踏襲した“磁石チェイス”を用意するなど、リン監督ならではのサービスが全部乗せだ。そして、舞台は『007 ムーンレイカー』ばりに“大空のその先へ”。そんなアホアホな展開も許せてしまえるのが、『ワイスピ』の醍醐味だが、いくらファミリードラマとはいえ、トレット家の兄弟喧嘩で引っ張るのは、いささか食傷気味。終始しかめっ面なジョン・シナが、悪役としてモノ足りないのも事実。
父子関係も絡んで、どんどん壮大になるFFサーガ
「お前はもう死んでいる」と言いたくなる過激なカーアクションや危険なスタントワークでファンの胸を熱くしてきたシリーズの最新作は、すべてがスケールアップ! 文字通り綱渡りの脱出劇や強力な磁気兵器(?)を使ったアクションが新鮮だし、今回は宇宙にまで飛び出してしまう。アンビリーバブル! テズとローマンが担当するお笑いパートがいい味出します。シリーズのもう一つの魅力であるFFファミリーの叙事詩には、主人公ドムと弟、その父親の関係も絡むし、そのうちドムとブライアンそれぞれの息子を主人公にした逸話が登場してもおかしくない勢い。物語が膨らむ一方で、Mr.ノーバディの行方が気になって仕方ない展開でした。
次回作以降が心配になるほどの突き抜け感
久しぶりにジャスティン・リン監督が手掛けたシリーズ第9作目。ある衝撃的な事件の発生で再び結集したドミニクたちが、その背後にうごめく巨大な陰謀を追うことになるのだが、そんな彼らの前に悪の手先となったドミニクの実弟ジェイコブが立ちふさがる。6作目で死んだはずの仲間ハンが復活するほか、シャーリーズ・セロンにヘレン・ミレンなどワイスピ・オールスターズが勢揃い。もちろん、シリーズの目玉である超ド派手&クレイジーなカーアクションも相変わらずで、なんと今度は大空の彼方の遥か先へと飛び出してしまう。いやはや、ここまでやっちゃったら次からどうするんだろう?なお、エンドクレジットが始まっても席は立たないように。
ハンが復帰!ブライアンもちゃんと生きている
このシリーズの魅力は物理を無視した奇想天外なアクションだけでなく、メロドラマふうのストーリーにもある。さらに近年はコメディ色も強くなってきて、なんとも絶妙なトーンがあるのだ。今回もそれらはすべて押さえている。ドムとレティの関係が落ち着いてしまい、恋愛面の波瀾万丈さが薄まってしまったが、代わりにドムの弟が突然現れ、家族の愛憎劇が展開。レティとミアの女同士の語り合いのシーンやミアのアクション全開シーンもあり平等感はアップ。だが、最大の注目はハンの復活だ。なぜ彼が生きていたのかは一応説明されるが、細かいツッコミはしないのがこのシリーズの掟。ブライアンの存在を忘れさせないのも嬉しい。
アクセル全開!!
コロナ禍を乗り越え、ついに公開される、痛快娯楽ブロックバスターシリーズ最新作。見たい『ワイルド・スピード』をちゃんと見せてくれて、とにかくうれしい限りです。
どれだけ敵が強力で、困難なミッションが降りかかろうともアクセルを踏めばすべてが吹っ飛びます。
ヴィン・ディーゼル以下、レギュラーメンバーに加えてサン・カンが復帰して、ジョン・シナが新規参戦。シナは一気にトップアクションスターに上り詰めそうですね。シリーズを知り尽くしているジャスティン・リン監督が復帰したこともプラスに作用しています。そして、海外でもウケがいいと言われている邦題ですが、今回の”ジェットブレイク”というのも絶妙です。
“ありえない”ようで科学的に“ありえる”力技でアクション感激
タイトルからして今度は「壮大な空中戦」になるのは目に見えていた。つまり、さらにアクションの“ありえねぇ”感というワイスピらしさが進化すると思っていたら、たしかに強引&荒唐無稽なんだけど、一応、科学的に説得力があったりして逆方向で驚かされた!
おちゃらけ担当のコンビがヒーローになる展開はもちろん、シリーズでは仲間ハズレ的だった3作目のメンバーが重要な働きをしてるのも、胸アツなんである。
ホブス不在は、ドムの弟ジェイコブが穴を埋め、ブライアンの代理役は妻ミアが応戦。ドムの父のドラマも含め、新たなファミリーの絆が形成されるのも感慨深い。若き日のドム兄弟のキャストが、ワイルドの源泉を初々しく名演。