青くて痛くて脆い (2020):映画短評
青くて痛くて脆い (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
青春ドラマの枠に収まらない社会性を備えた作品
自分が傷つきたくないだけの斜に構えた大学生が、純粋な信念で社会問題に取り組む同級生女子に感化されてサークル発足に協力するものの、いつしかリア充集団と化したサークルに恨みを抱いて叩き潰そうと画策する。その根底にあるのは、ずばり中二病だ。綺麗ごとで世の中を変えられなんかしないよねと冷笑し、人間なんて所詮みんな汚い生き物だよとうそぶき、理想主義者を意識高い系などと呼んで揶揄する。これが単なる若気の至りであればまだ救いがあるものの、近頃はいい年をした大人たちがこの病理に蝕まれているようにも感じられる。そういう意味で、本作は青春ドラマの枠組みに収まらない社会性を備えているとも言えよう。
吉沢亮の陰キャ、ここに極まれり!
“大学サークルあるある”のなか、驚くべき独り相撲状態で、物語を引っかき回していく主人公・楓。これまでも陰キャを演じてきた吉沢亮にとっても、このキャラは集大成といえるぐらいイタく、ハマっている。それに加え、「キミスイ」の原作者ながらも、ここまでミニマムな心理劇を、日テレ&東宝でやってしまう大胆さ。「銭ゲバ」「Q10」「妖怪人間ベム」など、連ドラで一歩踏み込んだ人間ドラマを手掛けてきた狩山俊輔監督によるサスペンス演出もなかなかだ。全然「スマイル」じゃない表情でギターをかき鳴らす森七菜ら、旬の若手キャストの使い方も面白いが、片山友希の使い方には疑問を感じるので、★マイナス。