私をくいとめて (2020):映画短評
私をくいとめて (2020)ライター3人の平均評価: 3.3
いろんな「あまちゃん」繋がりを楽しむ
原作・監督のほか、自分だけの世界を持つヒロインの設定だけに“『勝手にふるえてろ』第2章”といった印象が強いが、映画女優としてスクリーン映えする、のんのこじらせ芝居は、松岡茉優に負けず劣らず凄まじい。奥手キャラがまだまだハマる林遣都や片桐はいりのほか、コロッケ屋の岡野陽一らの芸人、“ともや繋がり”といったキャスティングも面白いが、音響効果など、どこか狙いすぎた演出が空回りしているのは事実。また、橋本愛と再共演を果たしたイタリア・パートにたっぷり時間を割いており、ラブコメながら133分という長尺に。こればかりは「あまちゃん」ファン向けのサービスとして捉えた方がいいかもしれない。
軽いのか重いのか、この微妙な感じ。のんにハマり過ぎなのは確約
脳内に存在する(と勝手に主人公が思ってる)「A」という人格と会話…の設定が、日本映画にありがちな「セリフで説明過多」の状況を納得させる。あの人のAの声も完璧。
そんな脳内人格との対話で日常を完結させ、なんとなく自分の周囲だけで生きてる主人公と、目的を達成して幸せいっぱいそうな親友。カードの裏オモテのような相手との対比が、じつは反転していたりするリアルが、「あまちゃん」のアキとユイの発展系なのは偶然ながら味わい深い。
片桐はいりの上司がオフィスで靴を履き替えるなど、何気ない細部の描写がうまい。軽いコメディ要素やポップな演出もうまく機能しているだけに、全体として「長く感じる」印象は否めない。
その10センチ、遠いか?近いか?
『勝手にふるえてろ』の監督×原作者+のんという座組だけでまず楽しみになります。
実際に見てみると心の中の存在“A”とのやり取りはリアリティがあって、似たようなことは男性女性、年齢に関係なくあるような気がします。
誰の心にも“A”入るでしょう、その存在感には大小の差はありますでしょうが…。
のん、林遣都もよいですが、臼田あさみ、片桐はいりがとてもいい味を出していて流石の一言です。
のんと橋本愛との共演は嬉しいボーナストラックです。
リモートを駆使して撮影したというローマのシーンはそれを感じさせない苦労のたまものになっています。