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キング・オブ・シーヴズ (2018):映画短評

キング・オブ・シーヴズ (2018)

2021年1月15日公開 108分

キング・オブ・シーヴズ
(C) 2018 / STUDIOCANAL S.A.S. - All Rights reserved

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

猿渡 由紀

イギリスの名優たちの若き日の映像にときめく

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

「喜望峰の風に乗せて」に続いてジェームズ・マーシュ監督が手がけたのは、やはりイギリスで実際に起きた、大胆な計画に挑んだ人の話。思ったとおりにはいかない、人間だからこその部分に監督が惹かれたのはわかるが、「喜望峰〜」でコリン・ファースが演じた男と違い、今作の登場人物は愛すべき部分が少なく、共感しづらい。やはりマイケル・ケインが出ている「ジーサンズ はじめての強盗」は、なぜおじいちゃんたちが悪いことをするのか納得できる理由があるはちゃめちゃコメディで素直に笑えたが、今作はトーンのバランスも良くなく中途半端な仕上がり。ただしキャストは抜群。彼らの若い日のお姿が出てくるのも楽しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

かっこいいオヤジたちの60年代英国の香り

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

シニア名優陣のチーム映画はいつしか定番企画になった。『ラストベガス』(13年)や『龍三と七人の子分たち』(15年)等々……その中で本作の大英帝国の薫り高さは最高だ。レジェンドへの敬愛と尊敬が軸で、役者自身のキャリアを踏まえたメタフィクション的な作り。マイケル・ケインらベテランの精鋭メンバーは、彼ら自身が年代物のバーバリーのコートやバブアーのオイルドジャケットのような渋さだが、各々の若き日の映像はやはり眩くて鳥肌が立つ。

持病ネタとかデジタル音痴ネタなど、おなじみの「シニアあるある」でユルく笑わせつつ、スモール・フェイシズやトム・ジョーンズなど、シックスティーズ・ロンドンの粋が際立つ!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

英国映画を代表するベテラン名優たちへの粋なオマージュ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 英国犯罪史上で最高額の強盗事件の犯人は、なんと英国犯罪史上で最高齢の強盗集団だった…!という、まさに「事実は小説よりも奇なり」を地で行く実話を基にしたコメディ。裏稼業から足を洗って久しい隠居老人たちが「もうひと花咲かせたる!」と大胆な強盗計画を実行するも、若い頃と違って頭も足腰も弱っているし、年を取ったせいでみんな短気で疑い深いし、なおかつ最新の防犯テクノロジーにもついていけず、あっという間に仲間割れしてボロを出してしまう。そんな老いの悲哀や人間の愚かさを大らかなユーモアで包んだ作品。マイケル・ケインやトム・コートニーら主演陣の若い頃の映像を織り交ぜた、名優たちへの粋なオマージュも心憎い。

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山縣みどり

老人ギャングが咲かせた最後の一花は美しいのか?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

M・ケインやT・コートニーら名優が老強盗を好演するが、『ジーサンズ はじめての強盗』みたいなほのぼの感はゼロ。「昔取った杵柄」とばかりに一攫千金を狙うご老人たちが実は持病持ちだったり、足腰が弱っていたりで前半は笑わせもするが、後半はかなりダーク。分け前を巡って疑心暗鬼になり、互いを出し抜こうとする姿はまさに悪事に手を染めた人間ならでは。死ぬ前に最後に一花咲かせたいという老人の気持ちもわかるが、欲にまみれた人間に似合うのは刑務所としか思えず。イギリスで実際に起きた強盗事件の全貌がわからない時点での映画化なので、訓話めいた締めくくりが必要だったのだろう。発見されてないお宝が気になるぞ。

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斉藤 博昭

英国が誇る名優たちが、ズラリ揃った絵ヅラを観るだけで壮観

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

現在87歳(!)のマイケル・ケインを筆頭に、いぶし銀の俳優たち、揃い踏みの風景に、彼らの若い時代の映像がそのまま役の過去として挿入されるものだから、それぞれの名作も頭をよぎり、映画史を振り返るような幸福な感覚も!
老人たちによる『オーシャンズ11』的な集団犯罪は、当然のごとく自分本位だったり、詰めが甘かったりして、いい意味でのユルい感じを愛おしむ作品ではある。楽曲のセレクトもナイス。
ただし、名優たちの円熟の才能が生かしきれているとは言い難く、彼らであれば、もう少し振り切れたノリや痛快さ、そして何より「哀愁」が表出できたのでは…。衝撃の実話を、映画=エンタメとして盛り上げる難しさも感じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ケインと六人の子分たち

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ハットンガーデン・ジョブ』と同じく、15年に実際に起きたオーバー60による強盗事件がモデルだが、シャワーシーンも魅せるマイケル・ケインを筆頭に、枯れ専にはたまらぬ豪華なメンツに圧倒される! そんなジジイたちの若かりし日の姿を『ミニミニ大作戦』や『SCUM スカム』など、過去作のカットを使って描くスタイリッシュな演出もあり、英国紳士版『オーシャンズ11』を期待してしまうところだが、そこはドキュメンタリー出身のジェームズ・マーシュ監督。泥臭くも痛々しい『龍三と七人の子分たち』な展開とのギャップに驚かされる。ジジイから若造扱いされるチャーリー・コックスの気の毒演技も、妙な味わいだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

歳をとっても懲りない男たちがいい感じ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 やっぱり英国の御老体たちはいい感じ。これがハリウッド映画だったら、もっと軽妙なタッチで可愛げのある老人たちを描くのだろうが、製作は英国のワーキング・タイトル、演じるのはマイケル・ケイン、マイケル・ガンボンら筋金入りの英国名優たちなので、そうはならない。どの老人も一筋縄ではいかない、腹に一物の曲者ばかり。それぞれ老化とともに難聴や腰痛に難儀してるのに、若い頃のちょっとイケてる強盗だった時の心意気は変わらず、ついでに性格の悪さも欠点も変わってないから、同じようにバカをやってヘマをする。そんな懲りない男たちが最後にはカッコよく見えるのが、この映画の魅力。しかも元は実話だというオマケも付いている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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