孤狼の血 LEVEL2 (2021):映画短評
孤狼の血 LEVEL2 (2021)ライター3人の平均評価: 4.3
なんだかんだ、定期的に続けてほしい
かなりワイルドになった松坂桃李に加え、『TOKYO TRIBE』を超えるサイコパスな鈴木亮平という、あの『ガッチャマン』の健と竜が激突! 明らかに、今のキャストで『仁義なき戦い 広島死闘篇』を目指した白石和彌監督に関しては、丁寧な演出なうえ、バイオレンス描写も盛りだくさん。それだけ熱量は感じられるが、やはり前作で役所広司が抜けた穴は大きく、映画としての不良性に欠けてしまった感はアリ。村上虹郎演じるイヌの動向も、香港映画や韓国映画好きにとっては想定内。とはいえ、天下の東映には、定期的に続けてほしいシリーズである。
鈴木亮平、大暴走!!!
とにかく、鈴木亮平の大暴走を見る映画です。
主演の松坂桃李以下、全キャスト素晴らしい熱量の演技合戦を繰り広げていますが、その中でもやはり鈴木亮平は他のキャラクターを周回遅れにしかねないほど暴走してます。演じた本人が自己嫌悪に陥る程だったとか。
一方、主演となった松坂桃李は、前作からガミさん=役所広司を欠くという、圧倒的な不利な立ち位置で、基本的に負け戦をどう凌いでいくかということに腐心する役どころですが、静と動のメリハリを効かせて、爆発寸前の物語を強引にまとめ上げます。
原作もあることなのでもう一本是非!!
この作品を選んだ観客のテンションを、一切落とさない覚悟
役の設定から、演技が激烈を極めるのは当然として、その予想を大幅に上回ってくるのが何人も! 鈴木亮平の映画史上稀にみる冷血ドSぶりが際立つが、何度も究極の決断を強いられる村上虹郎が、人間の精神限界に挑む特大敢闘賞。
ジャンルおよび凄惨なビジュアルで観客を選ぶ作品だが、緩みのないテンションは持続、いや時間の進行とともに強化されていく。そして見せ場では人間の狂気の本能に集中する。
前作の記憶の反芻、および観てない人のための説明も、まどろっこしくなくスッキリ。
日本映画にありがちな劇伴による盛り上げは最低限に抑え、映像の圧力と熱量で押し切った末のエピローグが「締めの一杯」のごとく全身にしみわたる。