SLEEP マックス・リヒターからの招待状 (2019):映画短評
SLEEP マックス・リヒターからの招待状 (2019)ライター2人の平均評価: 3.5
心地良い眠りと目覚めを誘う魅惑の音楽体験
『メッセージ』や『アド・アストラ』などの映画スコアでも知られる現代音楽の作曲家マックス・リヒターが、’15年から世界各地で開催している実験的なコンサート・プロジェクト「Sleep」を取材したドキュメンタリー。これは8時間以上にも及ぶオリジナル音楽を、真夜中から明け方にかけて演奏するというもの。客席にはベッドや寝具が用意され、会場の照明も落とされ、聴衆は穏やかな音楽と共に心地良い眠りと目覚めを体験する。それは休む間もない現代社会へのささやかな抵抗。リヒター夫妻のプロジェクトへ込めた想いはシンプルで、いつか自分も参加してみたいと思わせられる。特に、あの大聖堂での「Sleep」体験は最高なはず!
映画『メッセージ』のあの曲の作者が音楽を語る
マックス・リヒターは現代音楽の作曲家で、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ』のテーマ曲「On the Nature of Daylight」の作者。本作は、彼曰く「その一部となって体感する音楽」の演奏会を映し出すが、作中でリヒター自身が語る、彼にとって音楽とは何か、創造とはどんな行為なのかという談話が刺激的。こうした言葉にヴィルヌーヴ監督が共感したのではないかと想像してしまう。リヒターは映画『戦場でワルツを』『アドアストラ』、TV「ウォッチメン」のクリエイターのデイモン・リンデロフが手掛けたTV「LEFTOVERS /残された世界」などの音楽を手がけており、これらの作品のファンにもお勧め。