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水を抱く女 (2020):映画短評

水を抱く女 (2020)

2021年3月26日公開 90分

水を抱く女
(C) SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinema 2020

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

現実と幻想が交錯する美しくも哀しいラブストーリー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 古くよりオペラやバレエ、絵画や文学などの題材にもなった水の精霊ウンディーネの伝説をモチーフにしたラブストーリー。舞台は森と湖に囲まれた街ベルリン。水の精霊と同じ名前を持つ孤独な女性ウンディーネと、運命の出会いを果たした潜水作業員クリストフによる悲恋の顛末が描かれる。ストーリー自体はやや予定調和にも感じられるものの、現実と幻想、現在と過去が交錯する繊細な語り口は魅惑的で、どんよりと曇ったベルリンの寂しげな風景とバッハ「マルチェッロのアダージョ」の哀しげなメロディの醸し出すセンチメンタルなムードもたまらない。これぞヨーロッパ映画の醍醐味。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

裏切りは不幸を生むが、愛が生むのは?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

「人魚姫」の原型とも思える水の精の物語を現代に焼き直した、サスペンスフルな恋愛ドラマだ。恋人に捨てられて静かに怒りながらも仕事を立派にこなす冒頭で主人公ウンディーネが非常に不思議な女性と気づく。彼女は人間なの? それとも? 謎めいた存在感を発揮するP・ベーアの好演と、彼女が動くたびにかすかに聞こえる水音や硬質な映像がミステリアスなムードを演出すると同時に不穏な空気も醸し出す。何が起こるのか? 恋人の裏切りと自身の優柔不断さ故に真の愛を見失ったヒロインの選択と彼女に愛を捧げられた青年クリストフの物語が向かうのは何処? 超自然的とも言える展開もあるが、深い余韻が残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
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