THE MOLE(ザ・モール) (2020):映画短評
THE MOLE(ザ・モール) (2020)ライター2人の平均評価: 4
北朝鮮による武器密売の最前線を捉えた衝撃ドキュメンタリー
これぞまさしく前代未聞!過去に北朝鮮の怒りを買って出禁になったデンマークの映像作家マッツ・ブリュガーが、朝鮮親善協会デンマーク支部に潜入した平凡な元料理人と、国際的な武器商人に扮した前科者の元麻薬密売人という全くの素人をスパイに仕立て上げ、北朝鮮による武器密売の最前線を取材した衝撃のドキュメンタリーである。これがもう、そんじょそこらのスパイ映画よりもスリル満点!平壌郊外にある地下の極秘施設や北朝鮮の裏要人も参加する闇取引の会合など、見たことのない映像が次々と出てくる。中には隠し撮りがバレそうになる緊張の瞬間も!欧州各国に張り巡らされた北朝鮮支援組織網の実態にも驚かされる。とにかく必見!
北朝鮮に商機を求める人々が胡散臭すぎる!?
『誰がハマーショルドを殺したか』のM・ブリュガー監督作で、自己申告スパイのウルリックが労災で暮らす元料理人と聞けばモキュメンタリーの香りがぷんぷん。が、彼が部下の亡命で更迭された元駐英北朝鮮大使や悪名高き北シンパのスペイン人らと関わり、まさに映画的なノンフィクションなのだと仰天。経済制裁を受けている北朝鮮とのビジネスで儲けようと企む人々が胡散臭いが、大金の前で政治イデオロギーは意味を失うのだ。「売れるなら、武器も覚醒剤も作りまっせ」な北朝鮮の実態も暴かれ、国連は形なし!? 潜入(?)中のウルリックへの監督の指示や彼が撮影した映像の編集がコミカルなので、北朝鮮のダークサイドがそこまで怖くない。