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名付けようのない踊り (2021):映画短評

名付けようのない踊り (2021)

2022年1月28日公開 114分

名付けようのない踊り
(C) 2021「名付けようのない踊り」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

森 直人

美しき抗い、孤高者(たち)のマルチレイヤー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『メゾン・ド・ヒミコ』(05年)の続編の如き海辺の風景(ポルトガル・サンタクルス)で始まるダンサー、田中泯の傑作ドキュメンタリー。コロナ前の2年間――山梨の桃花村を拠点に、パリ、福島の除染地域など、様々な場所で生起する「場踊り」が思考としての言葉たちと呼応してうねる。

監督の犬童一心にとって久々のインディ系であり多層的な作り込みが凄い。映画の中に登場する中村達也のドラム、大友良英のギター、松岡正剛の朗読らと同じ様に、山村浩二(アニメーション)、上野耕路(音楽)、ZAK×大野由美子(音響)らをぶつける。ロジェ・カイヨワ「遊び」の精神を体現する、犬童の言う「つっかえ棒」たちの競演/饗宴が眩しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

田中泯の真のスゴさ、一人でも多くの人に知ってほしい

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

一般的に「俳優」として認知されるようになった田中泯の本来の姿、ダンサーとしての生きざまが、観る者に有無を言わせぬ説得力で迫ってくる。
40年以上も前、芸術の都パリで大絶賛された記録に改めて驚くが、フランスやポルトガル、東京の街角、大自然の中で、その場と一体化するように肉体がパフォーマンスを始める瞬間、人間の踊る本能とはこういうものだと納得させられる。オイルまみれになり、東日本大震災の被災地で蜘蛛と対話したりと、70代後半になるこのアーティストの衰えぬ表現意欲に、ただただ感服。
人格が形成された少年時代の“闇”がアニメで描かれて作品の見事なアクセントになっているほか、要所の映像美で陶酔感も極上。

この短評にはネタバレを含んでいます
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