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スパークス・ブラザーズ (2021):映画短評

スパークス・ブラザーズ (2021)

2022年4月8日公開 141分

スパークス・ブラザーズ
(C) 2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.8

くれい響

2人を知らなくても、140分後にはファンになる!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

常に時代の一歩先を進んでいたことで、波乱万丈だったスパークスだけに、半世紀に及ぶ活動はある意味ロック&ポップ史そのもの。そのため、140分の長尺もまったく気にならない。イギリスのバンドと勘違いされるほど偏屈なのに、誰からも愛されるいい人オーラ全開。監督を務めたエドガー・ライトのガチオタ度もハンパなく、彼らのことを知らなくても、観たら必ずファンになってしまう構成&編集も見どころ。ただ、断ち切れたジャック・タチ監督やティム・バートン監督とのコラボのエピソードは触れつつも、彼らがファンだったツイ・ハーク監督とのコラボが実現した『ノック・オフ』に触れなかったのは悔やまれる!

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ポップなアーティスト性の、素敵すぎる邂逅

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 “エドガー・ライトの創作の感性は僕らのそれと波長が合った”と、ラッセルは振り返るが、それも納得。

 スパークスの音楽と同様に、本作もユーモア満点であることは特筆すべき点。根底には奇才トッド・ラングレンにさえ“ヘンテコな音楽”と言われるものを作り、アートワークにもこだわる、スパークスの面白さがある。そして何より、スパークスの大ファンであるライトの愛情が宿り、異端の兄弟を輝かせる。

 主観に基づいて作りこまれているので、いわゆるドキュメンタリーとは異質。スパークスとライトのアーティスティックな感性が融合したエンタテインメント……という方がしっくりくる。笑って、泣けた。必見!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

エドガー・ライト監督の音楽ファン魂が炸裂!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 さすが、エドガー・ライト監督! この話題を描くときに背景に流れるのはこの曲か、と思わせる選曲のセンスが、スパークス自身の感覚にしっくり合う。スパークスの素顔を描くのではなく、スパークスとはどのようなアーティストなのかを描くという姿勢が、スパークスという題材に合致する。

 本編が長いのは、多様に変貌したこのバンドの全時代を描くからだが、それによって、ある一時期だけ聞いていたファンもこの映画に接点が持てるようになっている。著名人だけでなく、巷のファン達にも語らせるところも、自身が音楽ファンであるライト監督の面目躍如。その気持ち、分かる!と思ってしまうあれやこれやがたっぷり詰まってる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

愛と尊敬にあふれまくった141分

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

最高。カラックス『アネット』と交差するタイミングで、筋金入りのポップマニアであるエドガー・ライト監督がカラフルで賑やかなバイオグラフィー決定版を作った。フロントマンの弟ラッセルと、どこかザッパ的な兄ロン。持続可能な天才の軌跡/奇跡。監督と仲良しのベックから始まり、よく集めたな!級の超豪華ゲストが怒濤に登場。

『暴力教室』で覚醒、UCLA出身のメイル兄弟は映画との関わりが深い。『ジェット・ローラー・コースター』、タチやバートンとの裏話も。「彼らを理解するにはハリウッド映画というプリズムがいる」など、FSSで組んだ優秀な後輩フランツ・フェルディナンドのアレックスの証言は要所を押さえたもの多し。

この短評にはネタバレを含んでいます
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