グレイマン (2022):映画短評
グレイマン (2022)ライター4人の平均評価: 3.3
Netflix最大級の予算をぶっこんだアクション世界旅行
不屈の精神を持つ暗殺者シックス(ライアン・ゴズリング)とCIAに雇われたソシオパスの暗殺者(クリス・エヴァンス)らとの死闘をド派手に描く。Netflixで最大級の予算をぶっこんだ作品という触れ込みは、バンコク、ベルリン、ウィーン、プラハなどの美しいロケーションで繰り広げられる激しいアクションの様子で一目瞭然。まさに殺しの旅サラダ。恩人の姪である少女を守ろうとする主人公と卑劣な手を辞さない追手との戦いという筋立ては非常にシンプルなのに、主人公の性格が控えめなせいか、今ひとつ抜けが悪いのが気になった。シリーズ化されるなら、東京で警視庁の警官隊を巻き込んで戦うシックスの姿が見たい。
ネトフリ映画の新たなステージを感じる
当初製作が進んでいたジェームズ・グレイ監督&ブラピ主演作とは、まったく別作品として着地した“ルッソ兄弟なりの『007』”。『タイラー・レイク-命の奪還-』と比較してしまうが、「カタルシスなんて関係ねぇ!」と言わんばかりな斬新なカメラワークで魅せるアクション・シークエンスの畳みかけに圧倒されるのみ! ポーカーフェイスで無双なライアン・ゴズリングに、傷だらけでもキュートなアナ・デ・アルマス、サイコパス演技で“脱キャップ”な意気込み感じるクリス・エヴァンスと、スター映画としての見応えもアリ。脚本云々より飽きさせないことに徹したネトフリ映画の新たなステージを感じさせる一本だ。
ど派手なアクションがノンストップ
「レッド・ノーティス」と並び、Netflixオリジナル映画で最もお金がかけられた作品。それは見ていて明らか。銃撃戦、爆発、衝突、高いところからのジャンプなどが休みなく続き、とにかくど派手なのだ。いったい何台車を壊して何軒の建物を壊したのか。だが、やらせてもらえるからやっちゃえ的な感じは否めない。豪華キャストは良い演技をしている。究極の正義の男キャプテン・アメリカを演じてきたクリス・エヴァンスは正反対の悪役を楽しんでいるのが伝わってくるし、アナ・デ・アルマスも「007」よりずっと見せ場を与えられた。娯楽性は十分あるが、すでに数ある大型アクション映画の中でとくに思い出に残るかというと疑問。
究極アクションへの挑戦。ドSなクリエヴァに魅入る!
ルッソ兄弟らしくアクションシークエンス演出への注入パワーが異常レベル。過去のどんな映画とも違うシチュエーションと見せ方、怒涛のカメラワーク&編集に終始、圧倒される。中盤の見せ場では、ありとあらゆる表現が繰り出される。
クールな無敵ぶりのゴズリング、一瞬誰か分からないほど非情なエヴァンス、スゴ腕スナイパーのA・デ・アルマスと、キャストも才能と個性の限界を突き破る。
ただアクション以外では妙にセリフが多く、説明的印象に陥るのが勿体ない。
暗めのシーンが全体の8割くらい。背景が明るくても人物の表情が見えずらかったりと、もし配信で観たら明るさを調整したくなるが、それをすると作品の魅力が逆に薄まる気も。