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ブロークン・ジェネレーション (1985):映画短評

ブロークン・ジェネレーション (1985)

2022年8月19日公開 91分

ブロークン・ジェネレーション
(C) 1984 The Killer Venture. All rights reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

相馬 学

普通の少年たちが殺人犯と化す、サスペンスフルな現実

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 P・スフィーリス監督は『ウェインズ・ワールド』でブレイクする以前の1980年代、LAのインディーズシーンでパンクな青春映画を手がけていた。本作もそのひとつ。

 冒頭で実在の連続殺人犯が紹介され、それらと並ぶ存在として主人公コンビの行動が描かれる。高校を卒業したばかりなのにノーフューチャーな彼らがどのように凶行に走るのか? 薄氷の上を歩くようなサスペンスを宿らせる、巧い導入部。

 彼らの心情に寄り添うリアルな描写も秀逸。ゲイ差別に対する反感を盛り込んだポリティカル・コレクトネスは当時の作品には珍しい。イギー・ポップ“I Got Nothin’”がフィーチャーされる場面の切なさといったら!

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

80’s裏の傑作:漆黒の闇に踏み込むハードコアティーン映画

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『撲殺!射殺!極限の暴力少年たち』との副邦題がVHSについていた本作。スフィーリス監督が『反逆のパンク・ロック』に続き85年に放ったこの青春映画は、ジョン・ヒューズ史観やブラット・パックからはみ出した若き厄介者、チャーリー・シーン&マックスウェル・コールフィールドのW主演がハリウッドで凶悪な犯罪逃避行を繰り広げる。

実在の殺人鬼の肖像写真を並べた禍々しい冒頭。当時『地獄の逃避行』や『レベルポイント』と比較されたが、性的な衝動性としての殺人欲求を主題系に据えたのがエグい。学園コメディから『FBI心理分析官』や『マインドハンター』の世界に跨いでいく“無思想性”。まさに呪われた裏マスターピースだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

80年代にこんな映画を女性が撮っていたのは興味深い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

家でも学校でも不幸で、将来に何の希望も持てないふたりのティーンが暴走する物語。「The Boys Next Door」(隣に住む少年たち)という原題が、一見普通に見える少年も実は心の中にどんな鬱憤を抱えているかわからないということを示唆する。そういった社会的な視点から作られたのだろうが、彼らの行動の先に建設的なものが何もなく(まあ、そんなことを考えない愚かなふたりなのだが)、ひたすら暗い。バイオレンスも強烈。これでもR指定に収めるために10回も編集し直したというから、元はどれだけ残酷だったのか。ただ、80年代こういう映画を女性の監督が作っていたという事実は、非常に興味深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

チャリ坊が来た。

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

VHS時代、『地獄の逃避行』を意識した無軌道な若者を描く、ブレイク前のチャーリー・シーン主演作程度で観ていたが、改めて観ると、闇堕ち果てしない“ブロマンス版『ブックスマート』”といった趣(しかも、マックスウェル・コールフィールド演じるキャラは、チャリ坊に片想いするこじらせ系)。後に『ファイナル・デスティネーション』を手掛けるジェームズ・ウォン監督が脚本で参加していることもあり、先が読めないスリリングな青春映画としての要素もアリ。一方、ペネロープ・スフィーリス監督によるリアルな殺害描写は『アングスト/不安』など、同時代の猟奇映画に通じる胸クソ悪さで、そのアンバランスさが肝となっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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