はだかのゆめ (2022):映画短評
はだかのゆめ (2022)青山真治監督に見出された才能
四万十川のほとりという大自然を背景に、死者と生者が混在している幻想的で不思議な世界観。その曖昧さや儚さが大きな核となる59分間だが、それを引っ張っていくのは青木柚が放つ圧倒的な存在感である。言葉を発しなくても、母の死を受け入れられず、死者のように村を徘徊し、佇むだけで、しっかり画になり、説得力を持たせる。そんな亡き母への想いを映像化したのは、ミュージシャンでもある甫木元監督。わずかながらも印象的なセリフと、川のせせらぎや蝉の声といったさまざまな自然音。そして、それに同化する劇伴が見事に刺さるなど、青山真治監督と仙頭武則プロデューサーに見出された才能をいかんなく発揮している。
この短評にはネタバレを含んでいます