声/姿なき犯罪者 (2021):映画短評
声/姿なき犯罪者 (2021)ライター3人の平均評価: 3.3
振り込め詐欺のリアルな実態に驚きの連続!
日本と同じく韓国でも社会問題になっているという、振り込め詐欺を題材にした韓流犯罪アクションである。いやあ、さすがにこれは騙されちゃうよね!と言わざるを得ない巧妙な詐欺の手口にまずはビックリ。なるほど、「相手の無知ではなく希望と恐怖に付け込む」わけね。さらに、ボーナスのため今月の売り上げ目標達成に全員一丸となったり、様々なシナリオを作成する頭脳からそれを実行する末端まで完璧に作り上げられたシステムなど、組織の内情にもリアルな説得力がある。犯罪予防の勉強のためにも一見の価値あり。主人公が元エリート刑事とはいえ、決してスーパーマンでないところもスリルと緊張感を煽る。エンタメ作品としても上出来だ。
振り込め詐欺の手口の描写がリアル
年々増加中の振り込め詐欺は、いったいどんなやり方で行われるのか。入念なリサーチにより最新の犯罪状況を反映させたという、犯罪のプロセスの詳細な描写がまず興味深い。詐欺電話のための脚本が開発され、複数の人間が電話でそれぞれの役割を演じるという仕組みは、あまりにも巧妙。巨大な犯罪グループの面々が、役割分担も性格も犯行の理由もそれぞれ違うという描写もリアル。
果たして犯人の逮捕は可能なのかというサスペンスにアクションも盛り込まれ、それだけで満腹なエンタテインメントなのだが、さらにもう一味をプラス。犯人逮捕はこの種の犯罪を減らすことにつながるのか、という疑問をも提示して、現実に眼を向けさせる。
地続きの物語
韓国映画の犯罪映画の相変わらずの熱量を感じられる一品。振り込め詐欺がテーマになっていて、被害者の様子や、振り込め詐欺組織の内幕も描かれるために、日本人としても他人事とは思えませんね。
韓国を飛び出して中国まで行くとはなかなかのスケール感です。とにかくテンポが速くアクション主体なので、一気に駆け抜けるように見られました。
しかし、韓国では”元”警察官というのはこんなにアクティブに事件に関与してよいのでしょうか?映画的なことなのか、はたまた意外とあるケースなのか気になる所ですね。