ミスター・ランズベルギス (2021):映画短評
ミスター・ランズベルギス (2021)ランズベルギス vs ゴルバチョフ
ウクライナ出身の世界最重要映画作家のひとり、セルゲイ・ロズニツァ監督の4時間に及ぶドキュメンタリー。元リトアニア国家元首ランズベルギスとの対話とアーカイヴ映像で、二次大戦中、ソ連に強制併合されたバルト三国の建て直し運動、のちのサユディスの結成から、91年のリトアニア共和国の独立までを振り返る。
その中で、ペレストロイカの牽引者であったゴルバチョフの神話解体的な視座が際立つ。彼も実際はソ連の強権的な指導者というコードから出なかった。当時のリトアニアは今のウクライナとも呼べるし、中国にとっての香港や台湾とも言える。続けて公開された『新生ロシア1991』は同時期の動きをロシア側から補完するものだ。
この短評にはネタバレを含んでいます