ノートルダム 炎の大聖堂 (2021):映画短評
ノートルダム 炎の大聖堂 (2021)ライター3人の平均評価: 3.3
あの衝撃的な火災事故をIMAXの迫力映像で再現!
今からちょうど4年前の2019年4月15日、日本人にも馴染みの深いパリのノートルダム大聖堂で大規模火災が発生、世界中に大きな衝撃を与えたわけだが、本作はその消火活動と文化財の救出に命がけで当たった消防士たちの活躍を描く。調査資料や関係者インタビューを元に脚本を構成し、一般公募した火災当時のスマホ動画なども交えながら、「何が起きたのか」を限りなく忠実に再現。ドキュメンタリータッチの演出とVFXを駆使したリアルな映像も手伝って、とても臨場感と緊迫感のある映画に仕上がっている。やはり、常日頃から「まさか」の事態を想定しておくことって本当に大切なんだなと痛感。この迫力はIMAXでの鑑賞がおススメだ。
最上級の「アンビリバボー」体験
どんな題材であれ、ハズレなしのジャン=ジャック・アノー監督作だが、今回は災害パニック映画。とはいえ、あくまでも世界遺産・ノートルダム大聖堂を主人公に、果敢に立ち向かう消防士や右往左往する職員、見守ることしかできない市民といった人間の姿をリアルに描くスタイルは、『子熊物語』『神なるオオカミ』など、これまで手掛けてきた動物映画に近い。見どころは、サスペンス映画さながらのキリストの聖遺物「いばらの冠」の救出劇であり、ジェームズ・ホナーの遺志を継いだサイモン・フラングレンのダイナミックなスコアが一層盛り上げる。いろんな意味で、最上級の「アンビリバボー」体験だけに、IMAX上映をおススメしたい。
あと少しなのに…という消防車の苦闘など生々しい再現度の連続
世界を騒然とさせた火事を、現場目線で克明に再現した印象。その結果、ドキュメンタリーを観ている感覚に陥る。
メインとなる視点は消防士で、狭い螺旋階段を登っていく過酷さ、そこに熱さ、息苦しさを相乗効果で加えるカメラの動き。溶け落ちる鉛の映像も生々しい。さらにテンションを上げるのが、交通渋滞をかき分けての各所からの消防車の出動で、息詰まるカーアクションの様相も呈する。
もうひとつの視点は、ノートルダムを管理するサイド。この世界遺産を守り抜く執念に、限られた人しか知らない秘密が絡まって、スリリングな空気を加速させていく。
実際のニュース映像も使われるが、映画用に撮影したパートと違和感なく繋がった。