SCRAPPER/スクラッパー (2023):映画短評
SCRAPPER/スクラッパー (2023)英国映画の伝統を継承しつつ、カラフルな色彩が新鮮
英国の低所得者層の子供を生き生きと描く映画は、ケン・ローチを筆頭に綿々と続く英国映画の定番ジャンルで、本作もその系譜に連なる魅力的な1作。子供のタフさ、語り口のユーモラスさは伝統を継承しつつ、このジャンルには珍しいカラフルな色彩が新鮮。主人公の12歳の女の子が着るユニフォームの赤と青、芝生の緑、住居に塗られたパステルカラーが明るく色鮮やかなのは、それが彼女の目に映る世界の色だからだ。
母子家庭で母を失った12歳の少女の、福祉員に嘘をついたり盗品を転売したりする逞しさが気持ちいい。彼女も初対面の父親も、どちらも不器用でなかなか近づけない。そんな父親役をハリス・ディキンソンが好演。
この短評にはネタバレを含んでいます