ジョイランド わたしの願い (2022):映画短評
ジョイランド わたしの願い (2022)時代の動きを実感する
日本で劇場公開される事の稀なパキスタン映画から傑作が届いた(2022年作品)。91年生の新鋭監督サーイム・サーディクの自己投影も大きい物語で、封建的な家父長制の抑圧を痛烈に描く。主人公ハイダルの葛藤を主軸にしながら、旧来の男性性を批評的に対象化する複数の視座が強く浮かび上がる構造だ。
『モンキーマン』にも登場したヒジュラのコミュニティの様相が、トランスジェンダーのダンサーのビバを通して提示される。ハイダルとビバの恋愛にまつわる性的な軋轢の描き方も微に入り細を穿つものだ。ハイダルと妻ムムターズのパートナーシップにも新しい愛の形の可能性がある。欧米型よりむしろ先進的要素が多いようにも思える一本。
この短評にはネタバレを含んでいます