リアル・ペイン~心の旅~ (2024):映画短評
リアル・ペイン~心の旅~ (2024)痛いほど共感させる術を軽やかに成し遂げる、やはり彼は天才
NY→アウシュヴィッツの旅はあくまで「設定」。現地の光景がポイントとなるものの、最も心に沁みるのは主人公2人の性格描写に尽きる。すべて正反対の従兄弟。何かと極端に行動する“お騒がせ者”ベンジーに対し、冷静に彼をたしなめつつ、その自由さを羨むデイヴの心情が、いくつかのシーンであまりに痛く伝わる。監督・脚本のJ・アイゼンバーグが自身を重ねたとはいえ、多くの人が他者に感じるコンプレックス、根底でのたがいへの愛情、そして一定の距離感…と様々な心情をショパンの曲とともにドラマに乗せた“超映画的”才能に感動。
無敵の遠慮なさの裏に、哀しみを潜ませるベンジー役のK・カルキンは助演男優賞レースの最有力だろう。
この短評にはネタバレを含んでいます