ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発! (2024):映画短評
ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発! (2024)ライター3人の平均評価: 3.7
バカロック道、一直線の潔さに拍手!
前作以上にバカ映画に振れた潔いつくり。ノリのよい作品だけに、その点が、まず嬉しい。
メタルを愛するバンドマンたちの脱獄、友情、音楽業界の罠。それらがドラマを動かしつつ、一行の旅の破天荒さをグングン加速させる。現実味よりも突破力を重視しているのはクライマックスからも明らかで、ロック魂全肯定の愚直さに拍手したくなる。
BABY METALが想像以上に活躍したり、アクションシークエンスの舞台となるロックコレクターの館に奇想天外なアイテムがあったりなど音楽好きを楽しませるつくりにも好感。ベーシスト、クシュトラックスのメタルオタ的キャラが前作以上光った。
今回もメンバー4人が笑わせながら胸を熱くしてくれる
フィンランド北部の田舎町の無名のメタルバンドが巨大フェスを目指した前作の直後からスタート。今回は、商業主義のやり手プロデューサーと出会って、音楽の方向性の違いで仲間割れしてしまうという、まるでリアルな"バンドあるある"な展開に。とはいえ、ノリも心意気も前作と同じ。直球の爆笑ギャグを連発、メタルについてのセルフツッコミもたっぷり。仲良しの男子たちが大人になってもずっと仲良しでいる、というバンドものの魅力の基本を踏まえて、メンバー4人の友情が胸を熱くしてくれる。
楽しいオマケとして、スウェーデンのオカルト・ロックバンド、YEAR OF THE GOATや日本のBABYMETALが本人役で出演。
BABYMETALへの愛が伝わってくる
終末シンフォニックトナカイ粉砕反キリスト戦争推進メタルバンド、インペイルド・レクタムが帰ってきた! 前作では閉鎖的な田舎のマッチョイズムに蔑まれていたメタルバンドの悲哀を突拍子もないギャグとともに描いていたが、大ヒットを経て今回は大幅にスケールアップ。音楽業界にはびこる商業主義とメンバー同士の不和がバンドの大きな障害となる。完全な続編なので前作は必ず見ておこう。メタルファン向けのくすぐりが増量している一方、ちょっとありがちなストーリーと説明不足が気になった。BABYMETALの出演が話題だが、制作者側の愛情が伝わってくる見せ方だった。頑固なメタル博士・クシュトラックスのいかにもな反応にも注目。
前作が好きなら間違いなくお薦め!
期待を裏切らぬ“続編らしい続編”。孤島の刑務所にぶち込まれつつ、結構呑気な生活を送っていたインペイルド・レクタム(直腸陥没)の4人組が、独のメタルフェス「ヴァッケン・オープン・エア」を目指して“Heavier trip”(英題)を開始する。物語設計のベースは露骨に『ブルース・ブラザース』。そこに「商業主義との闘争」という重要な主題を重ね、仲良しバンドに初めて起こった軋轢を乗りこえるべくフィンランド魂「SISU」が発揮される。
モーターヘッドのレミーを彷彿させる“ブラッドモーター”のロブなど新キャラもにぎやかで、全体はお祭りノリ。BABYMETALはまるでインペイルド・レクタムの守護天使だ。