聖なるイチジクの種 (2024):映画短評
聖なるイチジクの種 (2024)「女性、命、自由」運動のパワフルでシネマティックな派生物
2022年9月の「マフサ・アミニの死」事件がモチーフとなる。『TATAMI』も同件の影響と反映があるが、本作はジーナ運動の直截的な支援が目的だ。主人公一家の娘である姉妹、大学生レズワンと高校生サナは過熱する抗議運動に共鳴する。だが父親は役人。予審判事に昇進した彼は、テヘランの良い家や立派な地位と引き換えに人々を死刑台に送り込む。かくして家族内が苛烈な政治的分断の場となる。
キーパーソンは母親ナジメ。彼女の意思決定次第では『関心領域』に近づいたはず。監督は筋金入りの反骨派モハマド・ラスロフ。167分の長尺はユニークな展開力を湛え、後半部はアクションスリラーの映画的ダイナミズムを豪快に獲得した!
この短評にはネタバレを含んでいます