港に灯がともる:映画短評
港に灯がともる先人たちの歩みを後世へ語り継いでいくことの意味
古くから在日コリアンが暮らす神戸の長田を舞台に、在日家庭における親世代と子世代のすれ違いが描かれる。長いこと辛酸を舐めてきた在日コリアンの苦難の歴史、ようやく築きあげた幸せを一瞬で奪った阪神淡路大震災の悪夢。しかし震災の当時まだ生まれておらず、そのうえ人種や国籍を意識することなく育ったヒロインにしてみれば、父親から繰り返し聞かされる家族の暗い記憶は重荷でしかない。そんな彼女が社会へ出て視野を広げることで、少しずつ親世代の想いを理解する。舌足らずな部分がないでもないが、しかし先人たちの歩みを後世へ語り継いでいくことの意味や重要性を、市井の人々の視点から考察したストーリーはなかなか深い。
この短評にはネタバレを含んでいます