ANORA アノーラ:映画短評
ANORA アノーラ純愛と暴走のジェットコースター的快感。そして残る切なさに…
ストリップダンサーと御曹司の「純愛」がジェットコースター的な急展開へなだれ込む。そんな映画的快感に有無を言わさず浸らせる怪作にして大傑作。
前半は短いシーンがハイテンポで切り替わり、中盤ではワンシチュエーションを長回しやアップも使ってじっくり観せたりと緩急自在な演出も飽きさせない要因。出てくる人々のあまりに行き当たりばったり感が逆に愛おしくなるという、この監督の得意技が本作で魔法のように機能した。ジェンダー問題の投入もさりげなく、深い。
どんな窮地にも抵抗し、豪快な行動もかます主演M・マディソンに心を鷲掴みにされ、途中から観ているこちら側はある人物に共感し、ラストの切ない余韻を共有することに。
この短評にはネタバレを含んでいます