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主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞ノミネート紹介

第84回アカデミー賞

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ジャン・デュジャルダン 『アーティスト』

作品情報

初ノミネート
1972年6月19日、フランス生まれ。サイレント映画『アーティスト』(2011)で落ちぶれていく映画スターをオーラいっぱいのムードで演じたデュジャルダン。実はフランスの有名コメディアンで、今回初ノミネート。2006年におバカなスパイ・パロディー映画『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(2006)でセザール賞主演男優賞にノミネートされた時以来の快挙か。すでにカンヌ国際映画祭でも男優賞を受賞しており、俳優の票が強いアカデミー賞ではかなり有利と見られている。
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デミアン・ビチル 『明日を継ぐために』

初ノミネート
1963年8月1日、メキシコ生まれ。今回の候補者の中で最もサプライズだったのがメキシコ人俳優のビチルだ。『明日を継ぐために』(2010)はロサンゼルスで暮らす移民の親子を描いた人間ドラマで、『アバウト・ア・ボーイ』(2002)のクリス・ワイツの監督作。ビチルは不法入国し、ティーンエイジャーの息子のために日雇い庭師として働く父親を演じている。出演作にはカストロを演じた『チェ』2部作などがあるが、もちろん今回が初ノミネート。

ジョージ・クルーニー 『ファミリー・ツリー』

作品情報

主・助演合わせてノミネート4回目(助演で1回受賞)
1961年5月6日、アメリカ生まれ。大幅に体重アップして役づくりした『シリアナ』(2005)でアカデミー賞助演男優賞を受賞したクルーニー。これまで『フィクサー』(2007)、『マイレージ、マイライフ』(2009)で主演男優賞にノミネートされているが受賞はまだ。独身のイメージが強く、演じるキャラも生活臭のしないものが多いが『ファミリー・ツリー』(2011)では思春期の娘たちに翻弄(ほんろう)される父親を好演、新境地を開拓した。いよいよ悲願の主演男優賞受賞なるか、大いに注目される大本命だ。

ゲイリー・オールドマン 『裏切りのサーカス』

作品情報

初ノミネート
1958年3月21日、イギリス生まれ。最近でこそ『ハリー・ポッター』シリーズ『ダークナイト』(2008)など大作系のサブキャラに甘んじることが多いものの、昔は狂気の役どころで数々の伝説的演技を披露してきたオールドマン。『シド・アンド・ナンシー』(1986)、『不滅の恋/ベートーヴェン』(1994)などで実在の人物も演じているが、意外にもアカデミー賞の候補に挙がるのは今回が初めて。『裏切りのサーカス』(2011)では二重スパイを捜し出すよう命じられた引退前の老スパイ役。サーカスとは英国諜報(ちょうほう)部の意。
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ブラッド・ピット 『マネーボール』

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主・助演合わせてノミネート3回目
1963年12月18日、アメリカ生まれ。『12モンキーズ』(1995)で助演男優賞、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)で主演男優賞にノミネートされていながら、まだ受賞のないブラピ。アンジェリーナ・ジョリーとのあまりにも有名な私生活のおかげで、逆に『ツリー・オブ・ライフ』(2011)やノミネートされた『マネーボール』(2011)など、「お父さん」役がリアルになってきた。これまでハンディになってきた、美しい容姿も気にならない微妙なお年ごろとなり、いよいよオスカー獲得となるか。

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メリル・ストリープ 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

作品情報

主・助演合わせてノミネート17回目(主・助演で各1回ずつ受賞)
1949年6月22日、アメリカ生まれ。映画デビューした翌年には『ディア・ハンター』(1987)で助演女優賞にノミネート。その女優人生がほぼオスカーと共にあるメリルは『クレイマー、クレイマー』(1979)で助演女優賞、『ソフィーの選択』(1982)で主演女優賞の受賞歴あり。今回で俳優としてはダントツ最多の17回目のノミネートとなった。『プラダを着た悪魔』(2006)、『ジュリー&ジュリア』(2009)でも実在の人物を演じたが、最新ノミネートの『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)でも超有名人に難なくふんしている。
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グレン・クローズ 『アルバート・ノッブス』

主・助演合わせてノミネート6回目
1947年3月19日、アメリカ生まれ。映画デビュー作『ガープの世界』(1982)でいきなりアカデミー助演女優賞にノミネートされた舞台出身のクローズ。今回が6度目の候補なのに、何まだ無冠! 『危険な情事』(1987)、『危険な関係』(1988)など、悪女役のイメージが強いが、19世紀アイルランドが舞台の『アルバート・ノッブス』(2011)では生きるために男として働く女性という難しい役どころに挑戦した。彼女にとっては以前、舞台で演じたこともある思い入れの強い作品で脚本も手掛けている。

ヴィオラ・デイヴィス 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

作品情報

主・助演合わせてノミネート2回目
1965年8月11日、アメリカ生まれ。『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)で心に秘めた思いを徐々に打ち明けていく、勇気ある黒人メイドを演じたデイヴィスは演技派で知られている。特にセリフを発しなくても、複雑な心境を想起させる演技が抜群。過去にも『ダウト ~あるカトリック学校で~』(2008)で短い出演ながら、大きなインパクトを残し、助演女優賞にノミネートされた。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)でも脇役ながら、存在感のある演技を見せている。

ルーニー・マーラ 『ドラゴン・タトゥーの女』

作品情報

初ノミネート
1985年4月17日、アメリカ生まれ。曽祖父はニューヨーク・ジャイアンツ創設者、父は同チーム副社長という超お嬢様。姉で女優のケイトの主演作「ルール 封印された都市伝説」で女優デビューしたルーニーは『ソーシャル・ネットワーク』(2010)でジェシー・アイゼンバーグ演じる主人公の元カノ役で知られる存在に。世界中の女優がオーディションを受けた『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)でリスベット役を獲得。髪を切り、体重を落とし、これまでのイメージを一新した体当たりの演技は称賛に値するが、果たしてその結果は?
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ミシェル・ウィリアムズ 『マリリン 7日間の恋』

作品情報

主・助演合わせてノミネート3回目
1980年9月9日、アメリカ生まれ。『ブロークバック・マウンテン』(2005)で夫と親友の同性愛関係を知り、苦悩する妻を演じてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたウィリアムズ。一昨年は『ブルーバレンタイン』(2010)でライアン・ゴズリングと共演、すれ違い夫婦を演じ、主演女優賞にノミネートされた。芯(しん)の強い女性を演じることが多いが、『マリリン 7日間の恋』(2011)では見事、デリケートなマリリン・モンローになり切った。実在の人物を演じると受賞しやすいといわれるオスカーだけに受賞が期待される。
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クリストファー・プラマー 『人生はビギナーズ』

作品情報

助演ノミネート2回目
1929年12月13日、カナダ生まれ。曾祖父はカナダの第3代首相。ピアニスト志望から転向しシェイクスピア劇などの舞台俳優に。日本では映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1964)のトラップ大佐役で広く知られる。なお1970年代以降は性格俳優として幅広い役柄に臨み、近年は『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)で文豪トルストイの悲哀を演じ同賞候補となった。ユアン・マクレガー主演の『人生はビギナーズ』(2010)では、同性愛者であることをカミングアウトし、主人公の人生観に影響を及ぼす威厳ある父をひょうひょうと演じ切った。
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ケネス・ブラナー 『マリリン 7日間の恋』

作品情報

主・助演合わせてノミネート2回目
1960年12月10日生まれ、北アイルランド(英国)出身。5歳上の兄に触発されて幼くして芸術に目覚める。独自に経験を積み、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに入団し、最年少で「ヘンリー五世」を演じる。「ローレンス・オリヴィエの再来」とたたえられる希代のシェイクスピア俳優に。初監督兼主演作『ヘンリー五世』(1989)で英国アカデミー賞を受賞し、『愛と死の間(あいだ)で』(1991)で米国に進出。『マリリン 7日間の恋』(2011)ではオリヴィエにふんし、マリリン・モンローが出資・出演する映画『王子と踊子』(1957)の監督・主演を務めるオリヴィエの気高さと、マリリンとの間に生じたあつれきにたけだけしく苦悩する様を体現。

ジョナ・ヒル 『マネーボール』

作品情報

初のミネート
1983年12月20日、アメリカ生まれ。大学時代に一人芝居に傾倒。友人の父である名優ダスティン・ホフマンに勧められオーディションを受け、『ハッカビーズ』(2004)で映画デビュー。その後『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007)などのコメディー作品に出演し、リドリートニー・スコット製作総指揮『僕の大切な人と、そのクソガキ』(2010)のマザコン息子役をはじめ、若手で実力が高く評価されている一人。『マネーボール』(2011)ではイェール大出の秀才ピーターを繊細に演じてブラッド・ピットをサポート。なお、ブラッドとはアニメ『メガマインド』(2010)で声の共演済み。

ニック・ノルティ 『ウォーリアー(原題) / Warrior』

主・助演合わせてノミネート3回目
1941年2月8日、アメリカ生まれ。フットボール選手として活躍したのち、1960年代からモデル業を始め、ドラマ「リッチマン・プアマン」シリーズで注目されて、映画や舞台に登場。『48時間』(1982)など肉体派の性格俳優といった印象が強く、オスカー候補になるのは『サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方』(1991)、『白い刻印』(1998)以来。近年は薬物依存症のリハビリなどを経て、奇跡のカムバック! 家族再生のドラマと総合格闘技(MMA)を融合させた、ギャヴィン・オコナー監督の『ウォーリアー(原題) / Warrior』(2011)では、アル中を克服し二人の息子とのきずなを取り戻そうとするが、うまく立ち回れない父を好演。
総合格闘技と家族を描いた話題作『ウォーリアー(原題) / Warrior』主演のジョエル・エドガートンを直撃!

マックス・フォン・シドー『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

作品情報

主・助演合わせてノミネート2回目
1929年4月10日、スウェーデン生まれ。アマチュア劇団を立ち上げたのち、演劇学校で学び、在学中に映画デビュー。後の巨匠イングマール・ベルイマン監督との出会いを機に同国の代表する俳優の座へ。『偉大な生涯の物語』(1965)で米国に進出。ハリウッド大作からインディペンデント作品まで巧みに渡り歩く。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)では借家人として登場するが、主人公の少年との掛け合いはもちろんのこと、家主の女性から入室を許された際に見せる喜びのしぐさでも印象的ないぶし銀の芝居が光る。

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オクタヴィア・スペンサー 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

作品情報

初ノミネート
1972年5月25日、アメリカ生まれ。『評決のとき』(1996)でスクリーンデビューして以後、映画・テレビで活動。近年は舞台や短編映画の監督と製作を務めるなどマルチに活躍。ドラマ「アグリー・ベティ」ではヒロインの父をストーカーするケースワーカー役で恐怖と笑いを提供。米国南部の人種差別が題材の映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)では、すでにゴールデン・グローブ助演女優賞に輝いている。料理上手な毒舌家メイドのミニー役では、「最も面白い女優25人」に選出された笑いのセンスを発揮し、重いテーマながら痛快さと爽快(そうかい)さをもたらすことに成功した。

ベレニス・ベジョ 『アーティスト』

作品情報

初ノミネート
1976年7月7日、アルゼンチン生まれ。3歳でフランスに移住し、フランス映画『レ・スール・ハムレット(原題) / Les Soeurs Hamelt』(1996)で長編映画デビュー。セザール賞で有望な若手俳優と称され、ヒース・レジャー主演『ROCK YOU! [ロック・ユー!]』(2001)で米国に進出。私生活でのパートナーであるミシェル・アザナヴィシウス監督による、ジャン・デュジャルダン主演映画『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』(2006)に続き、『アーティスト』(2011)でもヒロインを務める。劇中では、スター俳優にあこがれる新人ダンサーにふんし、恋心を抱えながら女優として成功を収めていく過程をチャーミングに演じて魅了する。タップダンスのシーンは、たった4か月で習得したとは思えないほど様になっており、見どころの一つ。
『アーティスト』の主演俳優と助演女優を直撃!フランス人が演じるハリウッドとは?

ジェシカ・チャステイン 『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

作品情報

初ノミネート
1981年3月29日、アメリカ生まれ。父は消防士で5人兄妹。9歳からダンスを始め、将来の夢は女優だった。ジュリアード学院演劇部門で学び、テレビショーと舞台に出演。『ジョリーン(原題) / Jolene』(2008)で映画デビュー。アル・パチーノが彼女をテレンス・マリック監督に推薦し、映画『ツリー・オブ・ライフ』(2011)の選考対象となり、ブラッド・ピットの妻役を射止めた。その後、快進撃は続き、2011年は映画6本に出演。『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)では、ボディーコンシャスな服をまとった天然系キャラクターながら、よそ者を歓迎しない閉鎖的な町に嫁ぎ苦労する新妻の葛藤をリアルに表現した。

メリッサ・マッカーシー 『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』

初ノミネート
1969年8月26日、アメリカ生まれ。女優・芸人・脚本家。アクターズスタジオなどで演劇とスタンダップコメディーを学び、映画や舞台を経て、テレビドラマ「ギルモア・ガールズ」にレギュラー出演を果たす。同作では脚本も担当しており、長女を身ごもりながら最終シーズンを書き終えた。昨年はドラマ「マイク・アンド・モリー(原題)/ Mike & Molly」でエミー賞を受賞した。映画は端役出演が続いたが、『ブライズメイズ(原題) / Bridesmaids』(2011)で英国アカデミー賞の候補にも。同作は親友の結婚式に付き添うアラフォー女性たち実態を下ネタ全開で描くコメディー作。ぽっちゃり体形を生かした機内でのナンパ術など、女優然とせず体を張って笑いに貢献している。

ジャネット・マクティア 『アルバート・ノッブス』

主・助演合わせてノミネート2回目
1961年5月8日、イギリス生まれ。英国王立演劇学校卒業後は舞台を主軸にし、舞台「人形の家」では、トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞などを受賞。大英帝国勲章が授与された。映画『タンブルウィーズ(原題) / Tumbleweeds』(1999)でアカデミー賞主演女優賞候補となり、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディー部門の女優賞を受賞した。『アルバート・ノッブス』(2011)では、性を偽って働く主人公の秘密を見破るペンキ職人ヒューバートをりりしく演じた。実はヒューバートも性を偽り生きる身だが主人公とは対照的で、内面も男性化し妻と暮らしている設定。そんな難役でベテランの風格を漂わせている。

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