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悪人伝 (2019):映画短評

悪人伝 (2019)

2020年7月17日公開 110分

悪人伝
(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP & B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.1

なかざわひでゆき

極悪非道のヤクザを演じてもマブリーの魅力は健在!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 基本的には神出鬼没の連続無差別殺人鬼VS一匹狼の暴力刑事による攻防戦という、韓流バイオレンスによくある設定だが、そこへヤクザを絡めたのが本作の秀逸なところ。いつものごとく犯行に及んだ殺人鬼だが、しかし今度ばかりは襲った相手がまずかった。なにしろ、最凶の肉体を持つヤクザの親分=マ・ドンソク兄貴だからね!思いがけず返り討ちに遭って逃亡する殺人鬼。かくして、俺様を殺そうなんて百万年早いわ!死ぬほど後悔させてやる!とばかりに復讐を誓った兄貴が、敵の敵は味方ってことで暴力刑事キム・ムヨルとタッグを組み犯人を追い詰める。極悪非道だけど憎めないマブリーの魅力炸裂。先読みを許さない展開も文句なしに面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ワル顔アクターたちの好相性がギラギラ光る!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 刑事とヤクザの組長が手を組んで連続殺人鬼を追う、なんともユニークな設定。ありえないように思えるが、“ヤクザにとって何より大切なのはメンツだ”と組長役のマ・ドンソクに凄まれると説得力を帯びるというものだ。

 刑事役のキム・ムヨルとの相性もよく、署内のはみ出し者で、ヤクザに臆せずガンガン嫌がらせをする、そんなトッポいアウトサイダー像が映える。役者同士の組み合わせがうまく作用した感あり。

 とはいえ、役者の格を踏まえるとドンソクが見せ場をさらうワケで、冒頭の人間サンドバッグへの激烈パンチはもちろん、結末のコワ過ぎる笑顔も鮮烈。それもムヨルの直情的でわかりやすいキャラがあってこそ、か。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

常軌を逸した悪に対抗するには反則技も必要ね

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ソシオパスな連続殺人犯というわかりにくい悪に対抗するために刑事がヤクザと手を組むという反則技の設定がまず面白い。ドンソク兄貴が演じるヤクザはバイオレンス度が高く、チンピラをサンドバッグに入れてワークアウトし、指でチンピラの歯を引きちぎる。怖い! が、女子高生に傘を貸す優しい側面も披露するし、みんなが大好きな兄貴もちゃんといる。刑事役のキム・ユヨルは兄貴ほどの迫力はないが、風雑な心中をしっかり表現。反社と共闘する刑事が“毒を食らわば皿まで”と開き直らず、忸怩たる思いを抱えるのもポイントだ。ヤクザ集団と警察が犯人追跡で競うシーンはかなりスタイリッシュだし、締めの兄貴のまなざしにグッとくる。

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くれい響

斬新な設定とマブリーに頼ってみました

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ヤクザと刑事が単独でなく、組織としてチームを組む設定の斬新さから、ハリウッド・リメイクも納得といえる本作。もちろん、強面キャラから優しいアジョシまで、さまざまな表情を魅せるマ・ドンソクの存在感も圧倒的で、このラストにファンならずともシビれるだろう。とはいえ、先の設定とマブリーに頼りすぎてる感は強く、原題でもあるタイトルから期待される重厚さに欠ける演出があったかと思えば、肝となるはずの野獣刑事との友情エピソードも弱めと、韓国ノワールとしては、いろいろモノ足りない。結果『守護教師』『無双の鉄拳』と続いた、ガード下の映画館が似合うマブリーアイドル映画枠に留まっている。

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村松 健太郎

豪腕炸裂!!!

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

なんといっても韓国の豪腕オヤジことマ・ドンソクの魅力が炸裂した作品です。
毒を持って毒を征するとはよく言ったもので、凶悪シリアルキラーを逮捕するために暴力刑事と極道が手を組むという呉越同舟の展開から、生まれる思わぬ連帯。
そこかラストの法廷シーンでの決着までとにかく強烈な熱量に溢れている作品です。
そのど真ん中にいるのがマ・ドンソク。
本作はハリウッドリメイクが決まっているとのことですが、マ・ドンソク抜きで成り立つ映画なのかなと?そのくらい彼の存在が際立った映画です。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

極悪人三者三つ巴のストーリーが痛快!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ストーリーが痛快! シリアルキラーがたまたま遭遇したのがヤクザの凶悪組長で、生き残った組長は犯人への復讐に燃え、犯人探しのために敵対している暴力刑事と協力することに。この三者三つ巴の発想が新鮮。するとヤクザと警察は実は体質もやってることもそっくりで…という描写で笑わせもする。
 そんな物語に相応しく夜の情景が多く、夜の中を自動車で流していくだけで、街の通りのヤバい感じが伝わってくる。夜の気配が、ギラギラギトギトしているのだ。監督・脚本のイ・ウォンテの新作が気になる。
 それらの極悪人揃いの中でマ・ドンソクが迫力勝ち。彼がマーベルの「エターナルズ」でどんな姿を見せてくれるか興味津々。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

貫かれるマ・ドンソクの素手勝負

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

韓国ノワールは若干お腹いっぱいだったのだが、マ・ドンソクは別腹。ゾンビも武器を持った凶悪犯も素手でなぎ倒す彼の得難い魅力は、ヤクザのボスというキャラクターを得てさらに開花。この危険人物を、よりによって連続殺人鬼が襲い掛かったことから、ヤクザと刑事が犯人逮捕に共闘する展開は、シュールなギャクを散りばめつつ社会の闇を見せた『アウトレイジ』を彷彿。己の正義を主要していても、皆、同じ穴のムジナという冷めた視点が人間の本質を突いている。濡れた車道にネオンが映える小雨のカーチェイスに、逃走シーンを劇的にする入り組んだ路地でのロケなど、映像の細部のこだわりも光る。監督は長編2作目とか。優秀。

この短評にはネタバレを含んでいます
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