ピッチ・パーフェクト (2012):映画短評
ピッチ・パーフェクト (2012)ライター4人の平均評価: 4.5
「2」も期待しないワケにはイカンでしょ!
下卑ネタ込みの定番学園コメディに見せかけて、とんでもなく上質なアカペラ・パフォーマンス(単に巧いのではない。アマチュアの匂いを漂わせつつ、ちゃんとエンタテインメントしてくれるのだ)と、ネジれまくったキャラクターたちの真っ直ぐな結束に涙する傑作がようやく公開。アナ・ケンドリックのコメディエンヌとしての才はこのあたりから覚醒したんだと思うが、存在自体が笑えるファット・エイミー役レベル・ウィルソンと、底知れぬ不気味さを漂わせるリリー役ハナ・メイ・リーが僕のお気に入り。『ブレックファスト・クラブ』がこの世代のクラシックであるのも嬉しいし、全体的にジョン・ヒューズへのリスペクトが感じられる演出も最高だ。
歌って踊れて、演技も上手な若手俳優そろい踏み!
題材であるアカペラには、地味そう、とかダークダックス的な印象しかなかった。それが、まぁ! 歌に加えてビートボックス&ダンスとクールで、人気上昇中というのも納得(あくまでもマイナー・ジャンルだけど)。本作はヒット曲を多用したサントラがいかすし、青春コメディとしても秀逸。物語の軸となるベッカの恋や友情、成長はよくある話だが、レベル・ウィルソン演じるファット・エイミーをはじめとする個性的なキャラクター設定やウィットあふれる台詞が映画の格を上げた。主演アナ・ケンドリックの歌唱力は誰もが認めるところだが、共演陣の歌とダンス、演技も素晴らしい。ハリウッドは奥が深いというか、人材が豊富ですよね。
待ちに待った最強無敵のガールズ・ムービー!
2年前の個人的ベストワンが、待望の日本上陸! 「glee」ありきのド直球なスポ根モノに見えて、初っ端から下ネタアリ、ブラックな笑いアリと、フルスロットルでブッ飛ばす。そこは矢口史靖のタッチに近いかもしれないが、時代を超越した楽曲の使い方の巧さは『ムーラン・ルージュ』級。アカペラ大会も高まるが、深夜のサークル対抗フリースタイル・バトルのシーンは何度観ても鳥肌モノ。『ブレックファスト・クラブ』だけじゃないジョン・ヒューズへのオマージュも泣けてくる。一大ブームとなった「Cups」のシーンは意外とサラッとしているが、プロデューサー&辛口解説者役のエリザベス・バンクスが初監督した続編が観たくなるはず!
実際パーフェクト!
ちょうど『2』が北米興収No.1の大ヒットスタートを切ったタイミングで、2012年の第一作がようやく&まもなく日本公開! あらゆる点で『glee』を下敷きにした企画だが、題材が大学のアカペラってことで音楽パフォーマンスはレベルが高く、「ダサいナツメロ」から最近のヒット曲までどれも楽しく魅せてくれる。またギャグもきつめで、保守派リーダーのオーブリー(A・キャンプ)の豪快な「サプライズ」から傑作のテンションがびんびん!
むろん主演のA・ケンドリックも『イントゥ・ザ・ウッズ』以上に素晴らしいが、脇キャラも配役から台詞まで全て気が利いていて文句なし。『ブレックファスト・クラブ』オマージュも染みたな。