リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン (2014):映画短評
リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
衝撃的なエンディングに中国政府の今が見えるよ
『インファナル・アフェア』のコピーでオスカー受賞したマーティン・スコセッシが本家リスペクトでプロデュースを引き受けた? と思ったけれど、中華系の監督にしか撮れない物語と本人が悟ったに違いない。先に力をつけた人間が後発組を食う、弱肉強食の移民社会が恐ろしい。差別的考えだがが、中国人マフィアの拝金主義&残虐性はもうDNAに脈々と流れてそう。人間豚とか激怖だし。世界のどこに移民してもメンタリティを変えずに独自の文化を貫くのは、強い精神力の表れとも言える。とはいえ、ポイントはエンディング。監督コンビが矛先を向けた権力と人脈が癒着する中国政府の今といった趣きの展開に香港人アンドリュー・ラウの怒りを見た!
“キッズ”の仁義なき戦い・クイーンズ死闘篇
アンドリュー・ラウ監督作をスコセッシがプロデュース――ということで『インファナル・アフェア』の延長にある格調高さを想像していたら、これがプログラムピクチャーの味わい。その粗野な暴力性を叩きつける作風が少年ギャングたちの子供っぽい残虐さとマッチし、彼らのどこか芝居がかった振舞いも含めてえらく生々しい。
描かれるのは実話を基にした1980年代のN.Y.クイーンズのストリートギャング抗争だが、チームに所属する中国系不法移民たちは“キッズ”と呼びたくなる幼さで、歴史の闇に廃棄される無名性が胸を打つ。史実から30年経ち、『ウォリアーズ』以降の不良集団青春映画の系譜における重要なワンピースが埋まった。