マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ (2013):映画短評
マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ (2013)ライター2人の平均評価: 2.5
主役はもはや裏方なのに、現役感ばりばりの美しさなのだが。
すでに功成り名遂げたファッション編集者(にして、もとポーン・シックの立役者)が、新天地NYで新雑誌を立ち上げる過程を追ったものだが、すでに主役は誰もが一目も二目も置く才人。そこに集まるのも切れ者のエディター、もしくはセレブ揃いで「生みの苦しみ」といったドラマ性はまったくなし。従って、新雑誌発刊への過程は多少のエージェント系障害を除き順風満帆、いたってまっとうなだけだが、写真界の巨匠ブルース・ウェバーの現在の姿を拝めたりするのは単純に楽しい。それに、ナタリー・ドロン、アンナ・カリーナ、ミレーユ・ダルクといった’60~’70年代のアイコンが、今も最先端の場で“売り”になるんだという驚きはある。
ファッション・アイコンの華麗ライフを拝見!
トム・フォードがミューズと崇める「VOGUE」元編集長カリーヌ・ロワトフェルドに密着したドキュメンタリー。新雑誌「CR」を創刊するまでに業界の裏側や私生活をはさむという構成で、カ—ル・ラガーフェルドに発孫を自慢し、スティーブン・ガンと編集会議を行うカリーヌの人生は順調で、コンデナスト社が契約を建てに有名カメラマンに「CR」での仕事を禁じたのが唯一の逆風。だからドラマとしては物語に起伏がなく、単純なカリーヌ礼賛。『ファッションが教えてくれること』の製作チームにしては詰めが甘い。でもカリーヌにあこがれる女性には彼女の華麗ライフを見させてもらうだけで満足なのだし、ニッチ層に向けた意図は成功。