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ニューヨークの巴里夫(パリジャン) (2013):映画短評

ニューヨークの巴里夫(パリジャン) (2013)

2014年12月6日公開 117分

ニューヨークの巴里夫(パリジャン)
(C) 2013 Ce Qui Me Meut Motion Picture - CN2 Productions - STUDIOCANAL - RTBF - France 2 Cinema

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

グローバル化と共に歩んだシリーズの最終章

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「スパニッシュ・アパートメント」、「ロシアン・ドールズ」に続く“ダメ男グザヴィエ”シリーズの完結編(少なくとも現時点では)。作家となった40歳のグザヴィエが、別れた妻子を追ってニューヨークへ渡り、またもや恋愛関係で右往左往する。
 もともと本シリーズはヨーロッパにおけるグローバリズムの歩みを背景にしてきた部分があるが、多種多様な人種と文化の坩堝である大都会ニューヨークを舞台とした本作は、移民問題に揺れる現代ヨーロッパ人が移民大国アメリカの内情を肌で知るという点に、実は大きな意味があると言えよう。移民局の調査をあの手この手でかわす下りなど爆笑。幸せの在り処に国境は関係ないのかもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

リンクレイターの次は、クラピッシュも!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

キャストのリアルな加齢と併走する形式は『ビフォア』シリーズ(R・リンクレイター)と共通するが、三部作としてはコチラの方が綺麗に着地したのでは? 女難系のダメ男、グザヴィエ(R・デュリス)が40歳の子持ちになって悪戦苦闘する様を描くが、リンクレイターがドキュメンタルな時間の流れを重視するのに対し、クラピッシュは連作小説のような味わいでまとめている。

思えばグザヴィエと『ビフォア』のジェシー(E・ホーク)は共に「作家」という設定だが、人生を「物語」のフレームに落としこむ作業はクラピッシュの方が律儀に行っている。優れた完結編だ。ショーペンハウエルとヘーゲルの「ゲスト出演」も見逃さないで欲しい!

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

40歳にして惑うトホホ男でダメンズ診断せよ!?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

スペイン留学で世界を広げた青年が作家となり、仕事で組んだ留学仲間と恋に落ちて結婚。ハッピーで万事順調なはずの人生にいきなり、想定外の事件が起こるのがグザヴィエの運命? ニューヨークに舞台を移しても優柔不断な性格は変わらずで、次々に困った事態に陥るのがなんともユーモラス。でも些細な幸せを求める彼の姿や意外に女性的なメンタリティには共感しきり。こういう男性は恋愛関係になると面倒だけど、親友としてはアリだ。相変わらずの悩める青年っぷりは大人な女性から見たら確実にトホホだけど、演じるロマン・デュリがなんとも魅力的。ダメでも許す!と感じた女性はきっとダメンズ。そういう意味では一種の踏み絵となるよ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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