ピクセル (2015):映画短評
ピクセル (2015)ライター5人の平均評価: 3.4
やっぱりアダム・サンドラー印
懐かしいゲームうんぬん以前に、アダム・サンドラーらしいバカ映画で嬉しくなる。ケヴィン・ジェームズが大統領役という時点で、リアリティ放棄は歴然。荒唐無稽を楽しむしかない。
物語の骨格はほとんど『ゴーストバスターズ』で、巨大な敵が迫る都市蹂躙スペクタクルまでテンポよく進む。ベテラン監督とはあまり組まないサンドラーだが、ここではクリス・コロンバスのポップな演出にハマッた。
80’sテイストやオタク的会話など他にもサンドラーらしさは脈づいているが、負け犬を勝者に変える逆転展開もそのひとつにして最大の魅力。子どもの頃“ゲームなんて時間の無駄”と叱られた負け犬側の筆者にも、これは痛快だった。
'80年代サブカルネタも満載なお気楽ゲーム・ムービー
エイリアンの地球侵略に落ちこぼれのダメ人間たちが立ち向かう。まあ、いかにもありがちな話だが、本作の場合、エイリアンのいでたちが’80年代の懐かしいゲームキャラという点がミソだ。
主人公たちが巨大なパックマンやドンキーコングを相手に死闘(?)を演じる姿がシュールな笑いを生む。ダン・エイクロイドやらホール&オーツやらジェーン・クラコウスキーやら、脇に並ぶ懐かしい顔ぶれも楽しい。マックス・ヘッドルームまで登場するのはマジで受けた。
ってなわけで、いろんな意味で賑やかな映画。いや、’82年ってまだマドンナもサマンサ・フォックスもデビューしていませんが!?という時代考証のいい加減さもご愛嬌だ。
ゴーストではなくゲーム・バスターズの活躍が爽快!
アダム・サンドラー特有のゆる〜い、ファミリー向けのギャグが好きか嫌いかによって賛否が分かれる映画。1982年にビデオゲームを入れて打ち上げたタイムカプセルを宇宙人が宣戦布告とみなしたのが事の始まりというアイデアは新しくもなく、対抗するのが「人間的にはどうよ?」なゲーマーの集団なのも既視感あり。それでも『ゴーストバスターズ』もどきの制服に身を包み、敵を次々にやっつける展開は爽快感アリ。敵が80年代のドラマや音楽などを使って交信するのでノスタルジックな香りも漂う!? パックマンはじめ襲ってくる敵が怖くなく、戦争をゲーム感覚でとらえることに否を唱える人もいるかもしれないが、サンドラー映画ですもの。
80年代の人気キャラたちがニコニコ顔で地球侵略!
パックマン、ドンキーコングなどキュートな80年代の人気ゲームキャラが巨大化して世界中に出現、音楽も当時のヒット曲のチープトリック、ティアーズ・フォー・フィアーズ等が流れ、そこに主演のアダム・サンドラーのスイートな雰囲気をプラスした、レトロ風味の愉快なアクション・コメディ。監督は「グレムリン」「グーニーズ」の脚本家だったクリス・コロンバスだし。でもちゃんと映画の底には、"地球のTVゲームを宇宙に発信したら、宇宙人が宣戦布告されたのかと思って攻めてきた"という、人間の文明についてのキツーイ批評が仕込んである。パックマンのゲーム作者のエピソードも、日本人のセルフイメージへのツッコミだったりして。
ゲーマーの夢がここに実現!
世代的に、ここまで期待高まる設定はないし、昔凄腕ゲーマー、今電気屋のオヤジ役のアダム・サンドラーはどハマり。しかも、『テッド』的役回りを任されたピーター・ディンクレイジや「マックス・ヘッドルーム」の登場などもステキなのだが、さすがにクリス・コロンバス監督の感性も衰えたか、観終わってみれば、どこかサッパリ薄味。結果的には『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』レベル。同じレトロ・アーケードゲームを題材に、Qバートが重要な役割を果たした『シュガーラッシュ』の方が作り手の熱意を感じ、ようやくリメイク始動の『ゴースト・バスターズ』のオマージュに見えてしまうのも、ちょっと悲しかったりする。