ロマンス (2015):映画短評
ロマンス (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
女優・大島優子を堪能する映画
母親との関係や生い立ちに問題を抱えた女性が、これまたいろいろ問題ありな不良オヤジと箱根周辺を巡り歩くハメとなり、その過程で少しずつダメな自分を受け入れていく。
これはもう、女優・大島優子を堪能する映画と呼んで差し支えなかろう。ロマンスカーの優秀なアテンダントとしての凛とした佇まいと、一転してどこかシニカルで醒めたところのある普段の顔。そんな相反する2面性を巧みに演じ分けながら、自分の欠点や過去を封印して気丈に立ち振る舞うヒロインの複雑な心情をリアルに浮かび上がらせる。
正直なところ、ストーリー展開は少なからず強引。しかし、キャラクターの作り込みと役者の上手さで魅せる。後味の優しさもいい。
箱根の情景とともに、彼らにまた会いたくなる
とにかく当て書きだけに、『紙の月』の不倫OL以上にどハマりな大島優子と『ピンポン』のアクマ以来の代表作になった大倉孝二。そんな2人の夫婦漫才のような掛け合いに、久しぶりに“分かってる”監督に使われてる感のある野嵜好美のボケ大会。これによって、いささかムリのある設定も難なく見せてしまう、タナダ監督7年ぶりのオリジナル作品。監督のダメ人間愛がダダ漏れしているのは相変わらずだが、テーマがそこそこへヴィだった前2作に比べると、本作の肩の力が抜けたライトさにどこかモノ足りなさも…。とはいえ、箱根の情景とともに、3人のキャラがあまりに魅力的だけに、彼らにまた会いたくなる中毒性を秘めている。