アクトレス ~女たちの舞台~ (2014):映画短評
アクトレス ~女たちの舞台~ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
重ねた歳月と向き合うベテラン女優の葛藤
かつて舞台劇の若き小悪魔役で名を成したベテラン大女優が、その再演版で小悪魔に翻弄される中年女性役をオファーされ戸惑いつつも、やがて年齢を重ねた今の自分を受け入れていく。
果たして成熟した大人とは?若さと引き換えに自分は何を得たのか?女優という特殊な職業を題材にしているものの、テーマは極めて普遍的であり、男女問わず中高年なら思わず我が身を重ねてしまうことだろう。
ヒロイン役のジュリエット・ビノシュ、若手人気スター役のクロエ・グレース・モレッツ、それぞれ同世代の女優ならではの葛藤を演じて説得力あるが、その中で主人公の無自覚なエゴに鋭く斬り込む助手役のクリステン・スチュワートが白眉。
二重、三重の物語構造の妙
物語の構造の妙。ベテラン女優が、自分の出世作である舞台の20年ぶりのリメイクに出演することになるが、演じる役はかつて演じた小悪魔的な若い女性ではなく、彼女に翻弄される中年女性の役。年齢はその舞台のモチーフのひとつでもあり、彼女と若い女性マネージャーが台本の読み合わせをするとき、その会話は彼女たち自身の交わす言葉のようにも見える。そしてそれは、この映画でその2役を演じている、ベテラン女優自身と若気女優自身の会話のようにも見えてくる。
そんな物語の背後に、アルプスの自然現象"マローヤの蛇"が、"変化し続けるものでありながらずっと変わらず在り続けるもの"の象徴として配置されている。