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人魚姫 (2016):映画短評

人魚姫 (2016)

2017年1月7日公開 94分

人魚姫
(C) 2016 The Star Overseas Limited

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

クラくない人魚姫、または魚版『プリティ・ウーマン』!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 チャウ・シンチーは監督に専念するようになってから、新たな黄金時代を迎えているのでは? 前作『西遊記~』からの好調が維持されていて、そんなことが頭をよぎる。

 バカバカしい一発芸も下ネタも恐れずに連ねる、始めにギャグありきの姿勢の潔さ。過剰な笑いは、拝金主義を背景にした環境破壊というテーマの重さやロマンスのゲロ甘テイストを中和する。こんなことをやれる監督は、そうそういない。

 同名の童話がベースというより、『プリティ・ウーマン』の極端なアレンジという方がピッタリくる。ちなみに原題は“美人魚”。最初は美人とは思えなかったヒロイン、リン・ユンが、どんどん魅力的に見えてくるのもイイ。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

人魚、環境破壊する人間に逆襲す

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

盲点だった。
海の生態系を壊す人間の愚かな行為に迷惑を被っているのは、ニモやポニョだけじゃない。人魚もいた!
その彼女と、リゾート開発を推進する実業家が恋に堕ちるドラマチックな展開を、ぶっ飛びギャグを散りばめて描くチャウ・シンチー印のコメディだ。
ただやはり今回は「楽しかった」だけでは観客を帰らすまいという監督の気概が強い。
それがクライマックスの、開発の邪魔になる人魚を捉えようとする時に振るわれる暴力シーン。
嵐のような銃弾。振り下ろされる刀。その描写は容赦ない。
そんなセッメージ性の強い作品が世界的ヒット。
監督として新たな可能性を切り拓いたように思え、今後の活動が俄然楽しみになってきた。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

永遠の中二病、まだまだ健在!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

間もなく続編が公開される前作『西遊記~はじまりのはじまり~』に続き、チャウ・シンチー本人は出演してないが、ダン・チャオ演じる青年実業家は、彼が多く演じた真実の愛に目覚める傲慢&イヤミキャラ。それだけじゃなく、純情可憐なヒロインにしろ、悪趣味な見世物小屋から始まるブラックでスラップスティックな笑いにしろ、『ドラゴン怒りの鉄拳』「ゲッターロボ」「射鵰英雄傳」などの自由すぎる劇伴にしろ、どこを取っても永遠の中二病=シンチー映画である。なかでも、前作の空虚王子以上にボケまくるショウ・ルオ演じるタコ兄はベストキャラ。唯一、水中の色彩などがいかにも中国映画なのは悔やまれるが、サイコーであることに変わらず。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

これぞチャウ・シンチー映画の醍醐味!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 環境破壊のせいで安住の地を失った人魚族が、その元凶である守銭奴の青年実業家リウを暗殺しようとするものの、刺客として差し向けた可憐な美少女人魚シャンシャンが彼に恋してしまう。
 …と、ファンタジックなラブロマンスの香りがするストーリーだが、そこはなんたってチャウ・シンチー監督作。ヒロインがとっておきのブス顔で登場するお約束も含め、ナンセンスでスラップスティックなギャグがてんこ盛りだ。
 さらに、今回は環境保護のメッセージ性も明確で、人魚族が迫害される中盤からの展開はかなりシリアス。前作『西遊記』では失速気味だったシンチー監督だが、かつての冴えを見事なくらいに取り戻している。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

VFX映像のテイストまでベタな笑い感覚!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 チャウ・シンチー監督が「少林サッカー」の勢いで人魚姫を描くとこうなる。人魚姫と聞くとアンデルセン童話やディズニーアニメのロマンチックなラブストーリーを思い出すが、この映画はいい意味でそれらとは真逆の爆笑VFXラブコメ。コミック的なキャラ設定も、ベタな笑いも、突然のミュージカル展開も、どこか昭和歌謡映画の味わいで、そのテイストがVFX映像にも貫かれ、洗練といったものとは関係がないデザインの、しかし勢いで圧倒するVFX映像が連打される。そのテイストの徹底ぶりが気持ちいい。
 その中で、人魚姫役のジェリー・リンはきっちり現代的。ファニーで自然体でちょっと天然な人魚を魅力たっぷりに演じている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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