マン・ダウン 戦士の約束 (2015):映画短評
マン・ダウン 戦士の約束 (2015)ライター2人の平均評価: 2.5
PTSDを抱えた帰還兵の心象世界を追体験する異色の戦争映画
米軍帰還兵のPTSDをテーマに取り上げた戦争映画は数多いが、その現実と妄想の入り混じった悪夢のような心象風景を当事者の主観で具体的に描いた作品は珍しいだろう。要するに、心を病んだ元兵士の目から見える世界とその心理状態を観客に追体験させるのだ。
これらの描写が心理学的にどれだけ正確なのかは定かでないものの、しかし映画的な説得力は十分に持ち合わせている。戦場へ人間を送り込むことの罪深さを思い知らされるはずだ。
家族への愛情だけを心の支えに地獄を彷徨う主人公を演じるシャイア・ラブーフも力演。この人、数々の問題行動さえなければ本当にいい役者なんだけれどね。
PTSDの元兵士に失礼すぎやしまいか?
荒んだ都市をスカウトする兵士ふたり組が登場する冒頭で、ディストピア映画かと思ったら、話はどんどんメロドラマ風に!? シャイア・ラブーフ演じる主人公ガブリエルが涙を流し始めたあたりから先の展開は読めてしまうが、PTSDの原因と思われる友軍誤射に至る過程がバカバカしすぎて、白けた。アメリカでは戦争神経症を患った挙句にホームレスになる元兵士も多いわけで、そういう方々に対して失礼すぎやしまいか? パソコンやSNSサイトのパスワードを恋人や夫が簡単に解けるように設定する無神経な女のせいで心を壊すって、どうなの?