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gifted/ギフテッド (2017):映画短評

gifted/ギフテッド (2017)

2017年11月23日公開 102分

gifted/ギフテッド
(C) 2017 Twentieth Century Fox

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

なかざわひでゆき

愛くるしい子役マッケナ・グレイスに思わず笑みがこぼれる

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 母を亡くした7歳の天才少女を巡って、子供らしい平凡な生活を送らせたい叔父と、その才能を伸ばしてエリートコースを歩ませたい祖母が親権を争う。
どちらの気持ちも分からないではないが、やはり筆者自身の経験を振り返っても、親に一番感謝するのは、興味の赴くまま自由に好きなことを探求させてくれたことだからなあ。ま、わたしゃ天才でもなんでもなかったけど(笑)。
 やはり本人の気持ちが一番大切。子供だってちゃんと意志ってものがある。だとすれば、大人がすべきこととはなにか。そこが本作の核心だろう。愛くるしい子役マッケナ・グレイスの伸び伸びとした演技は、見ていて思わず笑みがこぼれてしまう。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

天才ならぬスーパーヒーローの育成に苦悩した監督の内面も窺える

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 少女を天才という設定にし、天才子役マッケナ・グレイスの魅力を引き出すことで映画的フックを研ぎ澄ませているが、教育方針が異なる大人たちの対立をめぐる普遍的な家族のドラマとして優れている。子供にとっての幸福とは何か。信念に基づく大人の愛情表現が子供を困惑させてしまう。随所にちりばめた伏線の回収が、あざとさを感じさせずに笑いと涙を誘う。とりわけ、先生への挨拶と猫アレルギーの活かし方は絶妙。天才ならぬスーパーヒーローの育て方に挫折し苦悩したマーク・ウェブ監督が、キャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスに自我を託して、温もりあるささやかな映画を愛し直し、自らの内面を再確認しているかのようだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

見終わったときに心がほんわか

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

自身の夢を託した娘に裏切られて激怒した女性が才能を受け継いだ孫娘を狙う、という大筋は毒母(祖母)の物語風。でも主人公である孫娘メアリーを軸にした疑似家族の温かさや登場人物それぞれの人間臭さがなんとも好ましい家族ドラマに仕上がっている。出色なのはメアリー役のマッケナ・グレイスで、子供っぽい喜怒哀楽だけでなく深みのある演技で複雑な情感を見事に表現する。撮影時期には前歯が抜けていたが、ニカッと天真爛漫に笑う姿も愛らしい。クリス・エヴァンズも父がわりの叔父フランク役で家族への複雑な思いを抱えた男を熱演。キャプテン・アメリカのイメージはしばらく抜けないから、こういう小作品で実力発揮するのもいいのかも。

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くれい響

マーク・ウェブ監督が本来の姿を取り戻した!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『アメージング・スパイダーマン』シリーズでは身の丈に合わないことをやってしまった感のあるマーク・ウェブ監督だが、原点回帰ともいえるウェルメイドな本作では、実力を発揮しまくり、またも愛すべき映画に仕上げた。入口こそ既視感ある天才少女の話だが、じつは変化球入った『クレイマー、クレイマー』。それだけに『(500)日のサマー』の呪縛から解放され、数学のように答えが出ない家族の問題に鋭く切り込んでいく。子役のマッケナ・グレイスの巧さはもちろん、さまざまな想いを抱えた主人公を演じるクリス・エヴァンスも『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレックに匹敵する好演っぷり。にゃんこ映画としても楽しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

何年かに一人の逸材子役がハートをわしづかみ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

この7歳の天才少女役は、わずかでも鼻につく演技をしていたら、一気に興ざめする危険をはらんでいた。しかし演じたマッケナ・グレイスの、生意気さと素直さ、内に秘めた感情を微妙にちらつかせる表情で、その危険は完全回避。何年かに一度に出現する、特級レベルの子役だと言ってよさそう。周囲の大人キャストも、自己主張しすぎず、さり気なくマッケナをフォローする静かな名演技で心を打つ。
ストーリー自体は予想外の方向へ行くわけではないので、極端な感動は引き起こさないかもしれない。しかし、見ず知らずの人の出産を近くで体験するなど、些細なエピソードの静かな集積による少女の変化が、さわやかな後味をもたらすのは確実。

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平沢 薫

この監督はスパイダーマンよりこういう映画が似合う

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 がっしりした大人の身体に、柔らかい小さな子供の身体が、猫のような柔軟さと身軽さでまとわりつく。この視覚的表現を反復して、小さな女の子とその子を守ろうとする叔父の物語を描く。そのタッチは暖かいが、背後に家族の深刻な問題が浮かび上がり、スイートなだけの物語に終わらせない。
 マーク・ウェブ監督は「アメイジング・スパイダーマン」2作でも、ピーターとハリーが川辺で石を投げているようなシーンが魅力的だった。「(500)日のサマー」もそうだが、監督は日々の細かな気持ちの揺れ動きを捉えるのが好きなのではないか。夏に全米公開された「The Only Living Boy in New York」も見たい。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

キャプテン・アメリカ以外のエヴァンスをもっと見たい

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 天才として生まれた子供は、特別の教育を受けるのが幸せなのか。それとも、普通の子供時代を体験させてあげるべきなのか。人並み外れた数学の才能をもつ7歳のメアリーの祖母エヴリンは前者を信じ、 メアリーの保護者を務める叔父フランクは後者を信じる。そのテーマは興味深いのだが、そこはあまり掘り下げられずに、映画は無難なメロドラマに落ち着いてしまっている。フランクがなぜそう信じるのかに、より説得力をもたせるためか、エヴリンが極端な悪者に描かれているところも、やや薄っぺらい感じ。ただしクリス・エヴァンスは、はまり役。キャプテン・アメリカ以外の彼を、もっと見たいと思った。

この短評にはネタバレを含んでいます
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