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ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~ (2017):映画短評

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~ (2017)

2018年5月11日公開 120分

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~
(C) 2017 Stronger Film Holdings, LLC. All Rights Reserved. Motion Picture Artwork (C) 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

清水 節

テロ被害者の苦悩に寄り添い、立ち直るまでのリアルな軌跡

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 テロ被害を描く庶民のドラマは、とかく「団結」に向かいがちだが、ボストンマラソン爆弾テロ事件をモチーフとした本作は、別の道を行く。主人公は実在の人物。両脚の膝から下を失った彼は、欠点の多いごく普通の青年だが、事件渦中の目撃証言が犯人逮捕に貢献する。不自由を強いられる暮らしぶりやメディアに注視される葛藤に、キャメラはとことん寄り添い、ジェイク・ギレンホールの苦悩の演技が真に迫る。テロへの憎しみを煽ることなく、ナショナリズムを強化するわけでもない。身体にばかりでなく、心に深い傷を負った人間がなんとか立ち直り、打ちひしがれた多くの人々にとっての英雄としてのイコンを引き受けるまでの軌跡に、虚飾はない。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

美談にあらず。等身大のラブストーリーに震える!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 “感動の実話”というふれこみに身構える必要はナシ。ここではテロに勝った英雄の美談ではなく、人間としての成長の過程がとらえられる。

 テロで脚を失いながらも犯人逮捕に貢献したことで主人公はメディアによってヒーローに祭り上げられるが、本人の意識は、いいかげんに生きてきたダメ人間に過ぎない。そんな彼が、何にとまどい、何を恐れていたのかを丁寧にすくいとる。

 主人公の目線の先には、つねに友達以上・恋人未満のヒロインの存在がある。彼女との関係の変化をとおして描かれる”成長”は、恋をしたことのある人ならば誰でも身に覚えがあるはず。本作の感動は美談ではなく、等身大のラブストーリーの中に宿っている。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ありきたりな美談でないところがいい

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ‘13年のボストン・マラソンで起きた爆弾テロで、巻き添えになって両足を失いながらも犯人逮捕に貢献し、一躍国民的な英雄となった青年ジェフ・ボーマンの手記を基にした作品だ。
 といっても、よくあるお涙頂戴の感動的な美談に終始しないところがいい。出てくるのは善良だけど欠点も多い平凡な人々ばかり。主人公ジェフだって、己の不運に折れるし凹むし負けちゃうし、へそを曲げて周囲を困らせることもあるけど、それでもギリギリで踏ん張って人生を取り戻そうとする。それこそが真の勇気だ。
 ジェイク・ギレンホールは相変わらずの大熱演。息子可愛さのあまり余計な事ばかりする困った母親ミランダ・リチャードソンも微笑ましい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

J・ギレンホールの作品選びに失敗は少ない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

同じ事件でも、マーク・ウォールバーグ主演『パトリオット・デイ』と異なる被害者側の視点が生々しいが、テロ犯への人々の反応には(一括りにしてはいけないけど)アメリカ的で違和感があるシーンも。その違和感を幾度となく払拭するのが、ジェイク・ギレンホールだ。ここ10年ほど、たまに失敗もあるが、作品選びのセンス、演技時のテンションと集中力が尋常ではない域の彼が、今回は珍しく実在の人物なので、両脚を失った感覚など演技のアプローチは真摯さに徹した。しかし、ダメ男が悲劇のヒーローとなり、自分と向き合うという、よくある美談になりかける瞬間、ギレンホールの大きな瞳に宿る何層もの感情が、人間の本質を伝え、戦慄させる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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