あの頃、君を追いかけた (2018):映画短評
あの頃、君を追いかけた (2018)ライター2人の平均評価: 4
『50回目のファーストキス』に次ぐ、リメイク成功例
無謀な企画にも思えたが、「名シーンはできるだけ、同じカット割で、同じ場所で撮る」という、製作陣の『台湾オリジナル版』へのリスペクトがハンパない! しかも、オリジナルに登場する「パラレルワールド」というワードを発展させた脚色から、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』な後味に持っていく力技に脱帽。いさかか台湾臭を残しすぎた感や主題歌(のインスト)をゴリ押ししないなど、モノ足りなさはあるものの、下ネタを薄めた選択は正しいうえ、山田裕貴と齋藤飛鳥のオリジナルキャストに負けず劣らずの好演が光る。台湾で上映しても、決して恥ずかしくないリメイクだ。
名作であるオリジナルに恥じない珠玉の青春群像劇
同名台湾映画の日本版リメイク。バカだけどガムシャラな童貞男子と大人びた優等生女子の淡い初恋を軸に、大人への階段を上り始めた若者たちの熱い友情の軌跡が描かれる。もともとオリジナル版の監督自身の実体験を基にした自伝的な青春群像劇なわけだが、台湾版のほろ苦くも瑞々しい感動をそのままに日本へと舞台を移し、さらには震災を挟んだ時代性をもシンクロさせた見事な仕上がり。下ネタを含む大らかなユーモアも健在だ。そういう意味では、先ごろの『サニー』よりも日本版リメイクとして立派に成功しているように思う。いろんな意味で体を張って大熱演の山田裕貴をはじめ、若者たちのキャスティングも素晴らしくハマっている。