アクアマン (2018):映画短評
アクアマン (2018)ライター5人の平均評価: 3.6
DC陽性路線への転換ポイントとなるか?
『ダークナイト』の成功を引きずっていたか、はたまたマーベルとの差別化ゆえか、ダークなトーンにこだわり過ぎて迷走気味だったDCユニバースの、起死回生の一打。
地上でも海中でも展開はノンストップだし、アクアマンのキャラもしっかり立っている。何より、ユーモアがしっかり効いており、朝からビールを飲んでいる主人公の豪快キャラや、彼とヒロインのかけあいが活き、スリリングなアクションの中にも笑いが息づく。
合戦のスピード感も陽性の物語を大いに盛り立てる。監督が“海底の『スター・ウォーズ』”と胸を張るのも納得。次なるDC作品『シャザム!』までもが楽しみになってきた。
ベテラン陣のサポートが盛り上げる!
『ワンダーウーマン』に続き、「DCU」のプライドを懸けた渾身作。『マイティ・ソー』系の「MCU」を意識しまくったことは否めないが、「DCU」のダーク色を一新し、“体感するクリスチャン・ラッセン展覧会”な仕上がりに! 「人魚姫」なニコール・キッドマンと“イルカに乗った老人”なウィレム・デフォー、そして『クリード/炎の宿敵』に続き、芝居で魅せるドルフ・ラングレンと、ベテラン陣のサポートが“ワイルドすぎる海人”の成長物語を盛り上げる。密室空間をフルに使った“実家アクション”も見どころだが、『メリー・ポピンズ リターンズ』を断り、声の出演したジュリー・アンドリュースの心情は謎すぎ。
DCが意識した「お気楽さ」は控えめ。アクションの総量は空前
冒頭の二コール・キッドマン大立ち回りを皮切りに、ストーリーの分量に対するバトル場面の多さは、従来のアメコミヒーロー映画に比べても明らか。しかも海中から陸上まで背景も変わるのでメリハリはキープされ、派手なアクションを楽しみたい人へのフルコースサービスといった趣(おもむき)だ。海の生き物たちが、乗り物やガジェットに姿を変えて参戦する姿には、ビジュアル萌えする。
DC作品のイメージを変えるべく、痛快さ、軽妙さ、画面の明るさを意識した作りだが、主演のジェイソン・モモアも、もっとワイルドに暴走できた気もして、突き抜け感はやや遠慮気味に感じた。「お気楽」過ぎてもあざといので、このくらいがちょうどいい。
DCユニバースを知らなくても楽しめます
『ワンダーウーマン』などで顔出し済みのアクアマンがいかにして海(と陸?)の守護神となったかを描くオリジン物語なので、DCユニバースを知らなくても無問題。さらに言うと、ジェイソン・モモアakaカール・ドロゴの神々しい肉体を眺めるだけでも楽しい! 野望に燃える異父弟との確執といった要素はありきたりで、物語は平板。だからこそ、子供でも物語をすぐに理解できるはず。そしてアニメ『海のトリトン』を思い起こさせる海中世界は華やかだし、アリエル姫みたいな赤毛のプリンセス・メラのツンデレぶりも魅力(ただし演技力には疑問符がつく)。続編はさすがに作らないと思うが、スーパーヒーローものとしてはアリ!
DC映画の今後がますます楽しみになる
色が明るい! 笑える! 楽しい! 昨今のDC映画とはまったく違うテイストで作られた痛快作。世界中で大ヒットして、すでにDC映画史上でもっとも稼いだ作品になった。とはいえ、これまでのDCファンも心配ご無用。そうは言ってもアクアマンはちゃんと「ジャスティス・リーグ」に登場した彼と同じだし、今後のDC映画がすべてこのテイストになるわけじゃなく、それぞれの作品ごとに独自のカラーで描かれる。かなり大人向けになりそうなホアキン・フェニックスのジョーカー映画もあるし、マーゴット・ロビーがハーレイ・クインを演じる「Birds of Prey」のティーザー予告も怪しい雰囲気。本作に続くDC映画が楽しみになる!