ワイルドツアー (2018):映画短評
ワイルドツアー (2018)芝居も恋愛も新たな「環境」への旅である
佐藤泰志シリーズの四番目に続き、YCAM企画の四番目に召喚された三宅唱。ワークショップ基盤の中学生日記――と油断していたら、『きみの鳥はうたえる』と同じく「男2・女1」の恋ばなに展開! 前作が循環コードをバックにした役者達の戯れだとしたら、今回はみんなが弾けるAやEやDのコードを選んで演奏したブラスバンド的な初々しさと瑞々しさに満ちている。
「ワイルド」を意訳するなら、小さいアマゾン(秘境)への探検も含めて「環境」ではないか。演出と芝居をシンプルに導入することで、現実とも虚構とも異なる「第三の位相」としての映画(あるいは高次の現実)を紡いでいく試み。『きみ鳥』の素敵なB面トラックにも思えた。
この短評にはネタバレを含んでいます