ハッピー・デス・デイ 2U (2019)：映画短評

前作では雑魚キャラに過ぎなかったルームメイトをも巻き込み、“前作の答え合わせ”という掟破りから始まる、まさに前作だけでなく続編も超えた続編。当初のホラー要素は弱まったものの、今度の“9月18日”はタイムループだけでなく、パラレルワールドも入り混じった超SF展開となる。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に『天才アカデミー』を掛け合わせた大風呂敷の広げ方がヤバすぎる。しかも、ヒロインの亡くなった母親をめぐるドラマで、泣かせに走るという意外過ぎる展開が、これまた巧い！　練りに練られた脚本と愛すべきキャラたちの暴走！　今年もっとも偏愛したい1本であり、頭フル回転で挑むべし！

　一作目を見ていなくても楽しめる続編は多いが、本作は一作目をぜひ見ておくべき。というのも、前作のファンに向けた仕掛けが、ここには多数施されているから。

　ヒロインにタイムループを招いた元凶の人物が判明する冒頭から引き込まれ、またもループに引き込まれるヒロインの悪戦苦闘、パラレルワールドの存在まで飛び出し、大笑させつつ一作目の記憶を刺激する。

　何より注目すべきは、ヒロインと亡き母の愛情を、しっかり見つめていること。これにより感動指数がグっと引き上げられ、クライマックスには不覚にも涙してしまった。80’ｓ青春映画の甘酸っぱいテイストも前作以上に活きている。一ファンとして、大満足！

　性格に難ありな美人女子大生が、自分の殺される誕生日を繰り返し経験するというホラーコメディの続編。なんと、今回はパラレルワールドでタイムループが繰り広げられる。しかも、それは暗い過去を抱えたヒロインが、本来ならこうあって欲しかったと願う理想の世界。ある人物の命を救うためタイムループを断ち切ろうとするものの、それは元の世界へ戻らねばならないことを意味する。そのジレンマがスリルとサスペンスを生むわけだ。テーマはスラッシャーホラーからSFアドベンチャーへ。とにかく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズへのオマージュがハンパなく、その結末も思いがけず感動する。

１作目は一応ホラーで始まったが、この続編は完全にコメディ。そして、最高に楽しい！ストーリーは１作目の直後から始まるので、日本で１、２作目が連続公開されることになったのはプラスだ。今回は「恋はデジャ・ブ」に加え「バック・トゥ・ザ・フューチャー」へのオマージュも。前回、なぜツリーが同じ日を繰り返し生きることになるのかの説明がなかったが、今作はまさにそのストーリー。主演のジェシカ・ロースは、今作でも最高に光る。クライマックスではしっかり感動させてくれるし、今後、ますます彼女を見たいと思う。もちろん、３作目にも期待！